あ行
身近な線虫に探る、動物の成長と進化
理学研究科 奥村 美紗子 助教
【好きな言葉】
困った時がチャンスです。頭の良くなるチャンスです
【休日の過ごし方】
ドラマ観賞、読書、旅行
【お気に入りの場所】
こたつ。ホーエンツォレルン城(ドイツ)
【最近の「いいね!」】
上橋菜穂子さんのファンタジー小説にハマっています。生物がテーマの作品も多く世代を超えて楽しめます
【専門を説明するキーワード】
神経、発生、線虫、表現型多型、行動多型
【今、取り組んでいる研究】
生物は成長過程で、親から受け継ぐ遺伝子と育つ環境の両方の影響を受けています。私は、環境が動物の形態や行動に与える影響と、その仕組みに興味を持っています。なかでも、同じ遺伝子型であるのに、環境に応じて2種類の異なる口の形態をもつ線虫を対象に、その神経機構を研究しています。動物の多様な形態や行動がどのように制御され、進化してきたのか明らかにしたいです。
■1986年生まれ ■愛知県出身
■やぎ座 ■O型
■東京大学大学院薬学系研究科博士後期課程修了。マックス・プランク発生生物学研究所ポスドク研究員などを経て、17年から現職。専門は神経科学、発生生物。
(第87号・2018年2月取材)
さ行
実験で宇宙誕生と質量起源の謎に迫る
理学研究科 志垣 賢太 准教授
【好きな言葉】
It is nice to be important, but it is more important to be nice.
【休日の過ごし方】
食べ歩き、飲んだくれ、料理、バラの世話
【お気に入りの場所】
米国ニューヨーク州ロングアイランド。地産地消の魚介やワインがお薦め
【最近の「いいね!」】
フランス語を学び始めたこと
【専門を説明するキーワード】
クォーク、ビッグバン直後の宇宙、ものの重さの起源
【今、取り組んでいる研究】
スイスや米国にある最先端の粒子加速器を使い、原子核同士をほぼ光速で衝突させて、ビッグバン直後に10万分の1秒程度の間だけ宇宙を充たしていた数兆度の超高温状態を再現して探究しています。物質の最小構成要素である素粒子「クォーク」の挙動が研究対象です。我々の信じている宇宙創成シナリオは正しいか、ものの重さはどこから生まれたかなど、多くの根源的な課題に挑んでいます。
■1967年生まれ ■東京都出身
■かに座 ■O型
■東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。米国ブルックヘブン国立研究所などを経て、03年本学理学研究科助教授、07年から現職。専門は高エネルギー原子核実験物理学。
(第82号・2017年9月取材)
た行
液体の分子構造を明らかに
理学研究科 高橋 修 准教授
【好きな言葉】
特になし
【休日の過ごし方】
気分転換に自宅の庭の草むしり
【お気に入りの場所】
瀬戸内海の島々を見渡すことのできる山頂からの眺め。瀬戸内海は波も余りなく、静かできれいだと思います。
【最近の「いいね!」】
サッカー日本代表がアジアカップ・グループステージを突破したこと
【専門を説明するキーワード】
原子・分子、シミュレーション、理論計算
【今、取り組んでいる研究】
液体や凝縮相表面のような複雑な系の物質の構造を解明するため、日々研究に取り組んでいます。液体状態の分子構造に関する研究は、古くから行われていますが、分子そのものをじかに見るという点ではまだまだ不十分であると考えています。最近では特にアルコール水溶液(お酒)をターゲットとして、軟X線を使った分光に加え、シミュレーションを用いて物質の構造を解き明かしたいと考えています。
■1967年生まれ ■広島県出身
■広島大学大学院理学研究科博士課程後期中途退学。博士(理学)広島大学。本学理学部助手などを経て、18年から現職。専門は軟X線光科学、計算化学。
(第98号・2019年1月取材)
なぜカエルの卵は必ずカエルになるの?
理学研究科附属臨海実験所 田川 訓史 准教授
【好きな言葉】
What doesn’t kill you makes you stronger(すべての経験が人を強くする)
【休日の過ごし方】
家族サービス。3歳の息子とできる限り時間を共にする
【お気に入りの場所】
ハワイの海。学生時代からの研究材料ギボシムシの採集地です
【最近の「いいね!」】
世界を舞台にさまざまな分野で活躍する日本人が増えてきたこと
【専門を説明するキーワード】
エヴォデボ(Evo-Devo)。発生と進化。半索動物ギボシムシ。無腸動物ムチョウウズムシ。比較発生
【今、取り組んでいる研究】
生物が親から受け継ぐ遺伝子の数や種類は、種が異なっていてもほぼ同じであることが分かっています。ではどうしてカエルの卵は必ずカエルになり、他の動物にならないのでしょうか?私たちと類縁関係が近い海の動物ギボシムシを中心に、他の動物とさまざまなレベルで比較解析し、この発生と進化の謎を解明できるよう研究を進めています。
■1966年生まれ ■長崎県出身
■しし座 ■A型
■京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。テキサス大学MD アンダーソン癌研究所研究員、ハワイ大学助手、関西学院中学部教諭などを経て、05年から現職。専門は進化発生学。
(第89号・2018年4月取材)
ハエから学ぶ、機能的な神経回路の作り方
理学研究科 千原 崇裕 教授
【好きな言葉】
一期一会
【休日の過ごし方】
研究のことを考える(趣味)。息子と野球、妻と美味しいものを食べる
【お気に入りの場所】
ショウジョウバエの脳の中。ニューロンを赤・青・緑色に染めて観察すると凄く綺麗
【最近の「いいね!」】
学生が持ってきた実験データに大興奮。学生の成長が嬉しい
【専門を説明するキーワード】
神経、発生、行動、遺伝学、ショウジョウバエ
【今、取り組んでいる研究】
脳の神経回路の基本原理を知るために、ショウジョウバエを用いて研究しています。体長数ミリですが、遺伝子操作が容易で、生物学のスーパースターです。今年のノーベル生理学・医学賞もショウジョウバエを用いた研究でした。最近は、匂いを嗅ぐための神経回路の構造や匂いの感度に個体差があるのかなどを研究。嗅覚研究を切り口に、さまざまな生命現象を明らかにしていきます。
■1973年生まれ ■熊本県出身
■しし座 ■B型
■総合研究大学院大学(国立遺伝学研究所)博士後期課程修了。スタンフォード大学、東京大学を経て、16年から現職。専門は神経科学、発生生物学。
(第84号・2017年11月取材)
な行
分子一つに、可能性いっぱい
理学研究科 西原 禎文 准教授
【好きな言葉】
和を以て貴しとなす
【休日の過ごし方】
中国四国地方の「道の駅」を全て制覇しようとしています。中国地方は既に制覇!
【お気に入りの場所】
岡山県にある美星天文台。新月の時がお薦めです
【最近の「いいね!」】
最近の研究成果が新聞に掲載され、多くの反響を頂きました
【専門を説明するキーワード】
単分子、誘電体、磁性体、エネルギー変換
【今、取り組んでいる研究】
古くから単一分子に電気情報を格納することはできないと信じられてきました。しかし最近になって、私たちはこの定説を覆し、単一分子であっても強誘電性(メモリ効果)を示す分子の存在を突き止めました。この成果は、情報記録密度の向上に大きく貢献し、記録装置の大容量化や超小型化を可能にします。「困難」や「不可能」に対して果敢に挑戦することをモットーに、日々の研究生活を楽しんでいます。
■1975年生まれ ■京都府出身
■さそり座
■北海道大学大学院地球環境科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)北海道大学。名古屋大学日本学術振興会特別研究員、大阪府立大学助教を経て、10年から現職。専門は分子エレクトロニクス。
(第94号・2018年9月取材)
は行
「予想していなかった結果」が醍醐味
理学研究科 波多野 さや佳 講師
【好きな言葉】
季節限定
【休日の過ごし方】
研究室に行くか家でぐーたら、時々脱西条
【お気に入りの場所】
弘前公園。正広パーキング周辺の広島空港朱色の着陸誘導灯真下
【最近の「いいね!」】
青山学院大学駅伝部史上初の大学三大駅伝2 度目の3 冠王手
【専門を説明するキーワード】
有機光化学、機能物性化学、有機ラジカル、フォトクロミズム
【今、取り組んでいる研究】
調光レンズに見られるような、 光の作用で分子の構造が変わり、それに伴い色や性質も変化し、室温程度の熱で元の構造に戻るフォトクロミック分子の研究を行っています。化学結合の形成と開裂に結びつく有機ラジカル化学にも興味があり、光を当てることでラジカル種が生じる分子づくりに挑戦中。どんな反応が起き、どんな分子が生成したのかをいろいろな実験・測定を行いながらこつこつ明らかにしていくのが楽しいです。
■1982年生まれ ■青森県出身
■おうし座
■青山学院大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。博士(理学) 青山学院大学。青山学院大学理工学部博士研究員を経て、本学理学研究科助教、18年から現職。専門は有機光化学。
(第96号・2018年11月取材)
細胞骨格からがんや神経疾患を解明する
【好きな言葉】
温厚篤実
【休日の過ごし方】
小学生の子どもと過ごす。宿題、習い事をさせています
【お気に入りの場所】
水族館
【最近の「いいね!」】
フィラデルフィアの美術館がすばらしかったこと
【専門を説明するキーワード】
細胞骨格、細胞分裂、ダイナミン、ZIPキナーゼ、ミオシン
【今、取り組んでいる研究】
細胞の骨のような働きをする細胞骨格は長くなったり、短くなったり、束になったりとさまざまな状態に変化することで細胞の形を変形させます。ところが何らかの理由で細胞骨格が正常に形成されないと、がんや神経疾患などの病気が引き起こされます。その要因やメカニズムを解明するため、特にダイナミンやZIPキナーゼによる細胞骨格の制御について研究しています。学会での論文発表はもちろん、この成果ががんや神経疾患の治療や予防、新薬開発の基礎となればと思っています。
■1975年生まれ ■愛媛県出身
■おうし座 ■AB型
■広島大学大学院理学研究科博士課程後期修了。本学医学部研究支援者、本学原爆放射線医科学研究所COE研究員を経て、05年本学理学研究科助手、11年から現職。専門は細胞生物学。
(第85号・2017年12月取材)
壮大な地球の歴史に一歩ずつ近づく醍醐味
理学研究科 早坂 康隆 准教授
【好きな言葉】
研究への衝動は諸哲学からではなく、ものごとや諸問題から生じなければならない(フッサール)
【休日の過ごし方】
読書、映画観賞、釣り
【お気に入りの場所】
東広島駅裏の蚊無峠の自然公園整備地。天の川がはっきり見えます
【最近の「いいね!」】
是枝監督『万引き家族』を見たこと。長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の世界文化遺産決定
【専門を説明するキーワード】
岩石学、構造地質学、ジルコンのウラン-鉛年代測定、日本列島と東アジアの地殻形成史
【今、取り組んでいる研究】
日本を横断する巨大断層「中央構造線」の1億年に渡る活動史の総括。日本が大陸の一部だった頃に発生したこの断層を追って、日本列島を北上しています。断層の年代を知るために、断層に沿って、岩石の分析を重ねる作業は、予期しない結果に驚くことの連続で、実に面白いです。
■1956年生まれ ■熊本県出身
■広島大学大学院理学研究科博士課程後期修了。本学理学部助手を経て、15年から現職。専門は岩石学、構造地質学、地質年代学。
(第92号・2018年7月取材)