生物生産学部・生物圏科学研究科

あ行
人通信97号磯部先生

牛乳の安定生産を目指して

生物圏科学研究科 磯部 直樹 准教授

【好きな言葉】
特になし
​​【休日の過ごし方】
自宅の家庭菜園での野菜作り、紙製立体構造物の作製
【お気に入りの場所】
最近では、ライトアップした東京タワー。下から見上げると、とてもきれいでした
【最近の「いいね!」】
公共交通機関で移動すること
【専門を説明するキーワード】
牛乳、炎症、免疫、乳房、抗菌ペプチド
【今、取り組んでいる研究】
牛の乳房炎に関する研究に取り組んでいます。乳房炎にかかると乳量が減り、品質の低下を招き出荷停止になることや、悪化すると死に至ることもあり、その損害は日本だけでも年間約800億円と言われています。これらを防ぐために、乳房で細菌を殺す抗菌ペプチド(体内で作られる抗菌性物質)の働きに注目しています。抗菌ペプチドに関する研究を進め、畜産農家が安心して牛乳を出荷できる環境を整えたいと考えています。

■1969年生まれ ■山口県出身
■みずがめ座
■広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程後期修了。博士(農学)広島大学。本学国際協力研究科助手、生物圏科学研究科助教授を経て、07年から現職。専門は家畜生体機構学。

(第97号・2018年12月取材)

広大人通信第84号岩本先生

雲は何からできているの?

生物圏科学研究科 岩本 洋子 助教

【好きな言葉】
洋々
​​【休日の過ごし方】
実家(呉)に帰って美味しい魚を食べる
【お気に入りの場所】
呉の高台から眺める造船所
【最近の「いいね!」】
大学構内の紅葉が予想外に綺麗だったこと
【専門を説明するキーワード】
海洋、エアロゾル、物質循環、雲、気候影響
【今、取り組んでいる研究】
大気中に浮遊する微粒子(エアロゾル)の研究を行っています。エアロゾルは雲粒の核になります。言い換えると、エアロゾルが無いと雲はできないし、雨も降りません。エアロゾルが雲粒の核になれるかどうかは、その大きさや成分によって決まります。エアロゾルの気候影響を把握するためには、さまざまな場所でエアロゾルの物理・化学特性を計測する必要があります。最近は、特に海洋起源のエアロゾルについて調べています。今年の夏はバンクーバーからハワイまで航海して調査を行いました。

■1981年生まれ ■広島県出身
■みずがめ座 ■A型
■東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。名古屋大学、金沢大学で研究員、東京理科大学理学部嘱託助教を経て、17年から現職。専門は大気海洋化学。

(第84号・2017年11月取材)

広大人通信85号上田先生

植物も人も、適度なストレスが効果的?

生物圏科学研究科 上田 晃弘 准教授

【好きな言葉】
人生のらりくらり
​​【休日の過ごし方】
酒をたしなむ(特に琥珀ヱビス)
【お気に入りの場所】
塩性湿地や汽水域に自生する野生植物群落。特に北海道や岡山で見られるアッケシソウの紅葉は綺麗
【最近の「いいね!」】
海外に共同研究者が増えたこと。寝食共にするフィールド調査は楽しいです
【専門を説明するキーワード】
植物生産、環境ストレス、塩害、減肥栽培、植物生育促進細菌
【今、取り組んでいる研究】
塩害は世界の農耕地の20%に拡がる環境問題です。塩が表土に堆積すると通常の植物は育たなくなりますが、このような環境でもたくましく育つイネの開発を行っています。また、植物に薄い海水を吸わせると、塩が適度なストレスとなり逆に生育が良くなることが分かってきました。この仕組みを解明し、将来は塩を使った農業を展開できないかと日々奮闘しています。

■1975年生まれ ■大阪府出身
■おひつじ座 ■O型
■名古屋大学大学院生命農学研究科博士課程後期修了。フィリピン国際イネ研究所、米国テキサスA&M大学などを経て、15年から現職。専門は植物栄養生理学、環境微生物学。

(第85号・2017年12月取材)

あらゆる生き物が共生できる環境に

生物圏科学研究科 大塚 攻 教授

【好きな言葉】
赤誠、祈り
​​【休日の過ごし方】
読書、プランター野菜・洋蘭の世話、ハムスター・熱帯魚の世話、散歩
【お気に入りの場所】
奥入瀬渓流、ロンドン、フィレンツェ、グランドキャニオン、アユタヤ、ハーロンベイ
【最近の「いいね!」】
複数の知人の就職や学会賞受賞が決まったこと、国立自然史博物館設立準備委員に指名されたこと
【専門を説明するキーワード】
プランクトン、コペポーダ、共生、深海、進化
【今、取り組んでいる研究】
広島県では、ほぼ絶滅状態にあるカブトガニの保全に取り組んでいます。条例で保護してもらえるよう働きかけたり、シンポジウムなどを開いて啓発活動も行っています。また、海洋生物の多様性に関して、アジアや欧米の国々と共同研究を推進しています。帰国した教え子たちとの交流から、どんどん活動が広がっていくのを感じます。

■1959年生まれ ■東京都出身
■てんびん座 ■B型
■京都大学大学院理学研究科博士後期課程中途退学。農学博士( 東京大学)。本学生物生産学部助手、助教授を経て、05年から現職。専門は海洋プランクトン学、海洋共生生物学、保全生態学。

(第89号・2018年4月取材)

 


 

さ行
ひと通信99号斉藤先生

釣り餌の外来種問題に取り組む

生物圏科学研究科 斉藤 英俊 准教授

【好きな言葉】
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ(空也上人)
【休日の過ごし方】
子どもと猫カフェ、釣り
【お気に入りの場所】
音戸の瀬戸。桜や紅葉を見ながらの釣りは最高
【最近の「いいね!」】
子供の頃に遊んだ「戦国武将ゲーム」を実家の押入れで発見し、大変懐かしかったこと(現在オークションで人気のよう)
【専門を説明するキーワード】
生態学、底生動物、釣り餌、外来種
【今、取り組んでいる研究】
釣り餌として利用される、エビ類などの底生動物の生態を研究しています。現在約20種が国外から輸入されており、釣り人が余った釣り餌を投棄するなどが原因で、日本の河川に外来種(淡水エビ類)の侵入が拡大していることが新たに分かってきました。全国各地で調査を続け、どこにどんな外来種がいて、そのライフスタイルが生態系にどんな影響を及ぼすかを解明したいと考えています。

■1968年生まれ ■広島県出身
■おひつじ座
■広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程前期修了。博士(農学)広島大学。本学助手、助教を経て、11年から現職。専門は水族生態学。

(第99号・2019年2月取材)

広大人通信83号三本木先生

生物エネルギー獲得の仕組みを知る

生物圏科学研究科 三本木 至宏 教授

【好きな言葉】
文章を書くことによってしか、順序立ててものを考えられない(村上春樹)
​​【休日の過ごし方】
近くの美術館でぼーっとする
【お気に入りの場所】
矢沢永吉ライブ当日の日本武道館
【最近の「いいね!」】
ミュシャの「スラヴ叙事詩」全作品を見たこと
【専門を説明するキーワード】
微生物、蛋白質、エネルギー代謝、発酵、深海
【今、取り組んでいる研究】
生き物はエネルギーを得て、その命を維持することができます。私は、地球上の様々な環境に生息する微生物がエネルギーを獲得する仕組みを蛋白質レベルで知りたいと考えています。特に最近は、食品加工に有用な蛋白質を作っていると考えられている深海微生物に興味があります。発酵現象もエネルギー獲得の一形態であり、それを食品産業に活かす道筋も考えています。

■1962年生まれ ■東京都出身
■おひつじ座 ■O型
■東京大学大学院農学系研究科博士課程修了。オックスフォード大学博士研究員、大阪大学助手、本学助教授などを経て、11年から現職。専門は微生物学と蛋白質科学。

(第83号・2017年10月取材)

広大人第79号島田先生

卵というゴールにラストスパートする精子

生物圏科学研究科 島田 昌之 教授

【好きな言葉】
すべて定められた時がある
​【休日の過ごし方】
15キロから20キロのランニング
【お気に入りの場所】
広島の川沿いの遊歩道。桜も新緑もお勧め。
【最近の「いいね!」】
自分の開発したブタ人工授精技術を利用して生産された豚肉をスーパーの店頭で頻繁に見るようになったこと
【専門を説明するキーワード】
生殖補助医療(不妊)、家畜の繁殖技術、内分泌、卵、精子
【今、取り組んでいる研究】
自分たちの基礎研究成果を実用化技術に転用することです。現在AMED のプロジェクトで、マウスの卵巣機能低下を分子生物学的に解明し、ヒトの高度生殖補助医療への応用を研究しています。また精子の受精までの運動メカニズムを解明し、持続的に運動できる高性能な人工精液を発明しました。これにより繁殖率を大幅に改善した新たなブタの人工授精法を開発し、国内外への普及を行っています。

■1973年生まれ ■宮城県出身
■O型
■広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程前期修了。博士(獣医学)山口大学。99年本学助手、04年米国ベイラー医科大学客員研究員、06年本学助教授、17年から現職。専門は生殖内分泌学。

(第79号・2017年6月取材)

 


 

た行
広大人通信95号都築先生

日本の鶏の良さ、ぜひ味わって

生物圏科学研究科 都築 政起 教授

【好きな言葉】
百尺竿頭進一歩
​​【休日の過ごし方】
大概は仕事しています
【お気に入りの場所】
約2000 羽のニワトリやウズラを飼育する日本鶏保護増殖舎とその周辺
【最近の「いいね!」】
特にスポーツ界で、世界トップクラスの日本人の若者が続々と出て来ていること
【専門を説明するキーワード】
ニワトリ、QTL 解析、突然変異、遺伝的類縁関係、品種
【今、取り組んでいる研究】
私たちがスーパーで見かける卵や鶏肉は、実はほとんどが、元をたどると外国産。私は、世界に負けない「おいしい」国産鶏を作るため、ニワトリの染色体を分析し(QLT 解析)、産卵性や産肉性をつかさどる遺伝子の位置(遺伝子座)を突き止めようとしています。遺伝子の位置が分かれば、もっと卵を産むようになど、品種改良につながります。国産鶏の卵・鶏肉のおいしさをもっと皆さんに知ってもらえたらうれしいです。

■1958年生まれ ■高知県出身
■名古屋大学大学院農学研究科博士課程後期課程修了。農学博士(名古屋大学)。大阪府立大学助手、本学生物圏科学研究科助教授などを経て、04年から現職。

(第95号・2018年10月取材)

広大人通信87号冨永先生

植物の表皮細胞分化の仕組みを突き詰める

生物圏科学研究科 冨永 るみ 准教授

【好きな言葉】
一期一会
​​【休日の過ごし方】
映画観賞など、家でのんびり
【お気に入りの場所】
三景園(三原)の紫陽花。年を通して季節の花の催しがあり、花が好きなのでよく訪れます
【最近の「いいね!」】
東広島キャンパスの雪景色。まだ誰の足跡もついていない一面の新雪に惹かれます
【専門を説明するキーワード】
植物、表皮、根毛、細胞分化、転写因子
【今、取り組んでいる研究】
植物の根毛や葉のトライコーム(葉毛)は、ある遺伝子の働きにより、根や葉の表皮細胞が分化してできる器官です。この遺伝子が働くためのスイッチとなるタンパク質「転写因子」に注目し、植物の表皮細胞分化の仕組みの解明に取り組んでいます。将来的には、根毛やトライコームの量・機能を強化した「身を守る力が高い葉」や「吸収力に優れた根」など、農業作物へ応用したいと考えています。

■1967年生まれ ■宮崎県出身
■おひつじ座 ■B型
■京都大学大学院農学研究科博士課程後期修了。理化学研究所研究員、宮崎大学助教、本学講師などを経て、18年から現職。専門は植物分子生物学。

(第87号・2018年2月取材)

 


 

は行
広大人通信91号藤川先生

酵素の力で、ストレス解消!

生物圏科学研究科 藤川 愉吉 講師

【好きな言葉】
花鳥風月
​​【休日の過ごし方】
家で、庭で、気の向くままにゆったり過ごします
【お気に入りの場所】
龍泉寺(白滝山、三原市)の岩の上。絶景が広がっています
【最近の「いいね!」】
妻が園芸を楽しんでいる庭で、最近バラやユリなどの花が咲き始めたこと。ブルーベリーがそろそろ収穫時期です
【専門を説明するキーワード】
酵素、代謝、環境ストレス、植物
【今、取り組んでいる研究】
植物は環境ストレス(強い光や乾燥など)を受けると、その体内で活性酸素が作られ、植物の生長を妨げてしまいます。研究では、この活性酸素の除去に関わっている植物の酵素に着目し、その性質や、いつどこでどのように作られるのかを解明しようとしています。応用的には食糧・環境問題解決の一つの方策として、酵素の働きを上手く利用してストレスに強い植物を作ろうと考えています。

■広島県出身
■広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程後期修了。本学生物圏科学研究科助教を経て、12年から現職。専門は酵素化学、植物生化学、分子生物学。

(第91号・2018年6月取材)

 


 

や行
広大人通信第78号矢中先生

食品の知られざる効能で、人々の健康に貢献

生物圏科学研究科 矢中 規之 准教授

【好きな言葉】
人の縁。人間到る処青山有り
​​【休日の過ごし方】
愛する妻子と遊びたいと思いつつ、実際は海上で釣り糸を垂らしています
【お気に入りの場所】
沖から眺める瀬戸内海の無人の島々
【最近の「いいね!」】
被災直後にも関わらず、共同研究の無事を気にかけていただいた熊本の研究者の方々。感謝の気持ちは今も忘れません
【専門を説明するキーワード】
ニュートリゲノミクス、肥満、食品の機能性、栄養素の代謝
【今、取り組んでいる研究】
肥満や糖尿病などの生活習慣病の発症や老化のメカニズムと食環境との関係性を研究中。最近、肥満脂肪組織の炎症を体外から光で観察できるマウスの作製に成功し、食品の効能を可視化できる方法を見出しました。将来は、食品の中からメタボや筋肉萎縮に効果のある素材を見つけて、『せとこまち』に続く、地元企業とのコラボ商品が作れたら素敵ですね。

■1965年生まれ ■福岡県出身
■いて座 ■O型
■京都大学大学院農学研究科修士課程修了。博士(農学)京都大学。製薬企業研究所を経て、01年本学生物生産学部助教授、07年から現職。専門は分子栄養学。

(第78号・2017年5月取材)

広大ひと通信93号吉田先生

脳はどうやって心をつくるのか

生物圏科学研究科 吉田 将之 准教授

【好きな言葉】
適当
​​【休日の過ごし方】
工作(仕事で使う物を中心に、家具の修理など。最近、子どもの目覚まし時計を、他の部屋に行ってボタンを押さないと止まらないように改造しました)
【お気に入りの場所】
比婆連山の立烏帽子山
【最近の「いいね!」】
形と色がトカゲの卵にそっくりなキャンディーを見つけたこと
【専門を説明するキーワード】
感情、学習、心、脳
【今、取り組んでいる研究】
動物の1器官である脳が、どのように心をつくりだしているのかを、生物学的な方法論や実験観察を通じて理解したいと考えています。身体が反応する裏には必ず心があるはずで、魚類を使って「意識の芽生え」のような状態の下地になっている脳機能を明らかにしたいと思います。昨年は、研究内容や実験の様子などを紹介した『魚だって考える』(築地書館)を執筆しました。

■茨城県出身
■広島大学大学院生物圏科学研究科博士課程後期修了。博士(学術)広島大学。本学生物生産学部講師、ブリストル大学研究員などを経て、96年から現職。専門は生物学的心理学。

(第93号・2018年8月取材)

 


 

わ行
広大人通信81号和崎先生

植物の持つ能力で持続的な農業の発展へ

生物圏科学研究科 和崎 淳 教授

【好きな言葉】
初志貫徹
​​【休日の過ごし方】
夏はダイビング、冬はスキーを楽しみにしています
【お気に入りの場所】
ダイビングで見るパラオの海
【最近の「いいね!」】
硫黄泉の近傍にある強酸性土壌に生息する植物が面白い
【専門を説明するキーワード】
植物、根圏、リン
【今、取り組んでいる研究】
植物の生育に必要なリンは土壌中の金属と結合する等の要因で多くは吸収できない形になっています。これを吸収することができる能力の高い植物が宮島など中国地域に存在することがわかってきました。分子的、生理学的な切り口だけでなく、土壌を分析する泥臭い研究手法も活用し、リンをはじめとする養分の乏しい土地でも強く生育する植物のメカニズムの解明に取り組んでいます。乏しい養分でも栽培できて美味しい新種の農作物の開発など、資源の枯渇が懸念される日本において持続的な農業の発展につなげたいです。

■1972年生まれ ■千葉県出身
■うお座 ■A型
■北海道大学大学院農学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員等を経て、07年本学生物圏科学研究科准教授、16年から現職。専門は植物栄養学・土壌微生物学。

(第81号・2017年8月取材)

 


 


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