「ポスト京都議定書の気候交渉」模擬交渉最終日 公開のお知らせ

平成21年8月20日

「ポスト京都議定書の気候交渉」模擬交渉最終日 公開のお知らせ
 

広島大学大学院国際協力研究科では、科学技術振興調整費「低炭素社会を設計する国際環境リーダー育成」プログラムのもとで、我が国および途上国の気候変動問題の若手専門家育成のために、さまざまな研究・教育活動を実施しております。

今後の低炭素社会について考える上で、今年は特別な年であります。これは、本年12月にコペンハーゲンで予定されているCOP15において、2012年以降の国際的な気候変動問題に対する取り組みについて新しい合意を得るために、活発な国際交渉が行われているためです。しかし、これまでのところ、先進国と途上国のみならず、先進国間・途上国間それぞれにさまざま意見対立が表面化し、踏み込んだ合意についての見通しはなかなか立っておりません。

このような状況の中、本プログラムでは今年の夏、気候変動問題の専門家であり、かつ国際交渉の専門性を有した若手専門家を養成すべく、米国テキサス大学オースティン校リンドンジョンソン公共政策大学院と共同で、約2週間にわたる夏季集中国際ワークショップを企画しました。ワークショップには、世界中から若手専門家や学生が総勢40名参加しており、講義と模擬交渉を行います。最初の10日間に参加者は、広島大学が提供する気候変動問題や低炭素社会構築に関する講義(午前中)と、テキサス大学が提供する国際交渉に関する講義(午後)を受講し、これらの基礎的な知識をもとに最後の3日間では、2名1組となって代表的な20カ国に分かれ、実際のコペンハーゲンで用いる交渉テキストを使った模擬交渉を行います。

参加者が模擬的に担当する各国の立場や主張について、よく理解する努力をしてくれたこと、積極的に模擬交渉に参加してくれていることに加え、当初の予定には無かったのですが、米国交渉団のメンバーである米国外務省の職員と駐日米国大使館の日本の気候政策担当官が、若い参加者のために過密なスケジュールを調整してボランティアで参加してくれていることもあって、模擬交渉は大変成功裏に進んでおります。

そこで、このユニークな講義を地域のマスコミ各位に取材していただきたいと考え、模擬交渉の最終日を公開することとしました。なお、夏季集中セミナーの概要は、別紙のとおりです。

公開講義名:ポスト京都模擬国際交渉(最終日)
日 時:平成21年8月21日(金)9:00-12:00
場 所:広島大学東広島キャンパス 学士会館 2F レセプションホール
使用言語:英語

お問い合わせ先

広島大学大学院国際協力研究科 教授 金子 慎治
電話:082-424-6916
E-mail:kshinji@hiroshima-u.ac.jp
(@は半角@に置き換えた上、送信してください。)

<別紙>

国際環境リーダー育成国際ワークショップ(サマーコース2009)
DEVELOPMENT WITHIN A LOW CARBON WORLD:
Preparing Professionals for Post-Kyoto Climate Negotiations and Sustainable Growth Policies
低炭素社会の発展:ポスト京都議定書の気候交渉と持続的成長政策に関する専門家育成

【概要】:
広島大学 科学技術振興調整費「低炭素社会を設計する国際環境リーダー育成」プログラムでは、気候変動問題の解決に向けた長期の国際的な取り組みや国際交渉に貢献する人材を育成するためのワークショップを開催します。ワークショップでは、気候変動問題に対処するための低炭素社会構築の必要性や意義、国際気候交渉問題について理解し、途上国の持続可能な開発、国際協力の視点からその問題や課題について議論を行います。
期間:2009年8月5日~21日
会場:ひろしま国際センター・広島大学(大学院国際協力研究科・学士会館)
使用言語:英語
参加者:40名程度
 ASEAN若手研究者 11名
 テキサス大学オースティン校 学生 11名
 広島大学大学院国際協力研究科 学生 10名 
 広島大学大学院国際協力研究科 修了生  6名

【プログラム概要】:
第一部:気候変動と国際環境協力(8月5~18日 9:00~12:30)
発展途上国の気候変動と持続可能な発展のために、気象・海洋工学、交通・都市工学、生態学、経済学、法学と政策などを含む様々な分野から、基本的な気候変動と発展問題、気候変動の緩和と適応策、発展途上国への影響や国際協力のあり方について理解を深めます。

第二部:気候変動の国際交渉(8月5~18日 13:30~17:00)
気候変動問題への国際的取り組みにおいては、非常に難しい国際交渉が求められることから、講義では、地球温暖化問題に関する国際交渉の歴史と課題について理解を深め、多国間・他者間の交渉やコミュニケーション、調停に関する技術を学びます。

第三部:模擬気候交渉(8月19~21日 9:00~12:30、13:30~17:00)
第一部、第二部で修得した知識・技術を用いて、ポスト京都議定書の国際的枠組みについての模擬交渉を行い、国際交渉や合意形成について実践的に学びます。

スペシャルセミナー(19:00~20:30:全5回)
先進国、途上国の気候変動問題に関係する実務者、専門家をお呼びして、話題提供をしていただき、気候変動と国際社会の役割について理解を深めます。また、ASEAN若手研究者の方々に、途上国の環境問題の現状や研究ニーズなどについて話題提供をしていただき、今後の環境研究の展望や、途上国と先進国の役割について議論を行います。


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