銀河よりも巨大な高エネルギー粒子雲からガンマ線を発見

平成22年3月30日

記者会見のご案内
銀河よりも巨大な高エネルギー粒子雲からガンマ線を発見

 

広島大学大学院理学研究科・深沢泰司教授を中心とする日米欧の研究チームが、フェルミ宇宙望遠鏡を用いた観測により、近傍銀河に付随した「巨大な雲」から強いガンマ線放射を発見しました。この観測結果は4月1日(木)付けの米国サイエンス誌オンライン版に掲載されます。(日本時間4月2日午前3時)
※フェルミ衛星は、広島大学が開発に大きく貢献し、平成20年6月にNASAにより打ち上げられました。

今回観測した構造は、私たちの銀河から約1200万光年の距離にあるケンタウルス座A(Centaurus A)という活動銀河に付随するものです。地球から見た「雲」の長手方向のサイズは満月の約20倍にも及び、実際の大きさは約200万光年で銀河本体の50倍以上にもなります。ケンタウルス座Aの中心には太陽の約1億倍の質量をもつ巨大なブラックホールが潜んでいると考えられ、ここから放出された高速な粒子ビーム(ジェット)が、この巨大な雲を形成したと考えられます。この雲は電波で明るく輝いているため電波ローブと呼ばれています。今回新たにガンマ線放射が確認されたことにより、粒子の加速エネルギーや磁場の強さを正確に決めるだけでなく、宇宙における「新たな加速器」の存在が明らかになりました。

宇宙空間には、宇宙線と呼ばれる高エネルギーの粒子が走り回っており、地球にも絶えず降り注いでいます。こうした高エネルギー粒子を作り出す効率の良い加速器として、星の最期における超新星爆発やガンマ線バースト、ジェットの噴出しなど激しい爆発現象が考えられてきました。一方で、今回発見した「巨大な雲」は宇宙空間をゆっくり膨張するものの、激しい爆発や衝突を伴わないもので、銀河の外の「何もない」空間で宇宙線が作られるという、新しい可能性を強く示唆します。

つきましては、下記のとおり記者会見を開催し、観測成果について発表し、ご説明いたします。ご多忙の折、誠に恐縮に存じますが、是非ご出席いただきたく、ご案内申し上げます。

日時:平成22年4月1日(木) 14時~15時

場所:東京都港区芝浦3-3-6 キャンパス・イノベーションセンター5階 リエゾンコーナー 508(TEL:03-5440-9065 広島大学東京オフィス)

出席者:深澤 泰司(広島大学大学院理学研究科・教授)、片岡 淳(早稲田大学理工学術院・准教授)
 

※本件配信先:文部科学記者会、科学記者会、他広島大学関係報道機関
 

※別紙(FAX返信用紙)は省略

お問い合わせ先

広島大学社会連携・情報政策室広報グループ
担当:山下、和木
電話:082-424-6013、6017


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