第18回 カルチャーサプライズ!文化って面白い

総合科学部社会文化プログラム4年 山根 愛加
<ハワイ州カラニ高校出身>

等身大の広大生の声を入学希望の方にお届けするコーナー『広大生の生の声』。第18回は、ハワイ州カラニ高等学校出身の総合科学部社会文化プログラム・4年の山根 愛加(やまね あいか)さんです。

日本で生まれ、4歳から18歳までハワイで育った山根さん。日本の学校へ行くのは、広島大学が初めてだったそうです。日本の大学を受験しようと思ったきっかけ、広島大学での授業・研究、サークル活動、1年間のマンチェスター大学での留学生活などについてインタビューしました。

ハワイの出身なんですね!

そうです。もともと広島で生まれましたが、4歳の時に親の転勤でハワイに引っ越しました。幼稚園から高校までハワイの学校に通っていたので、ほとんどの科目は英語で学びました。

なぜ日本の大学への進学を考えたのですか?

家族とは日本語で話をしたり、週末は通信教育で日本語を勉強したりしていましたが、日本語の習得には苦戦していました。先生がいないまま独学で日本語を勉強するのは難しく、特に古文は全然理解できず、まだまだ英語の方が話すのも読むのも早い状態でした。そこで、「バイリンガル」だと胸を張って言えるように日本の大学を受けてみようと思いました。

広島大学総合科学部を受験した理由を教えてください。

ハワイの学校では「文系」「理系」という枠組みがありませんでした。そこで、大学に入ってからも文系理系の枠にとらわれず、幅広く勉強したいという気持ちがありました。そんな私にとって、「複雑に絡み合う21世紀の諸問題の解決に向けて、文系・理系を超えた総合的・複合的な視野を養う」という広島大学総合科学部のポリシーはとても魅力を感じ、受験することにしました。両親はまだハワイに住んでいますが、親戚が広島にいて安心できる点も後押しになりました。

希望を胸に、総合科学部へ進学!

なるほど、広島に縁があったのですね。それでは入学後のことについて聞かせてください。

今まで日本語で授業を受けたことがなかったので、授業についていくのは大変でした。会話で困ることはほとんどありませんでしたが、難しい熟語は知らなかったので苦労しました。そんなときは、そばにいる友達に助けてもらいながら、なんとか頑張りました。

サークルには何か入りましたか?

1年生から大学祭実行委員会に入りました。もともと中学校から高校の間、生徒会をやったり、卒業式の運営を経験してみたりと、何かを企画し、実行することが好きだったので、日本でもそういうことをやってみたいと思っていました。

初めて日本のきっちりした企画・運営の現場を経験し、とても感動したのを今でも鮮明に覚えています。ハワイのちょっとゆるい感じとは異なり、細かく段取りし、リスクマネジメントを随所に行う日本のスタイルが素晴らしいと感じました。本当にいい勉強になりましたね。その後も、このような「カルチャーサプライズ」を何度も経験しました。

カルチャーサプライズ?詳しく教えていただけますか?

実際に日本に来てみて、「言語の差」よりも「文化の差」の方が大きいと感じました。文化の違いは、「カルチャーショック」というネガティブな表現をされがちですが、私にとっては、「カルチャーサプライズ」とでも言うべきポジティブなものでした。学部やサークルの友達と話しながら、日本とハワイの違いを話したり、聞くたびに、「なんて〝文化〟は面白いんだ!」と思いました。日本の文化も、世界のさまざまな国の文化も、もっと詳しく知りたいという思いが強くなり、2年生から社会文化プログラム(※)を専攻しました。

(※)平成25年度入学生からは、「人間探究領域」「自然探究領域」「社会探究領域」の3つの中から所属する領域を選択します。

「文化の違いを前向きに考えればワクワクする」と話す山根さん

社会文化コースで学んでみて、良かった点は?

社会文化プログラムは、先生方が専門とされている学問分野がそれぞれ異なることが特徴です。経済からの視点、法律からの視点、政治からの視点、宗教からの視点、歴史からの視点・・・。さまざまな講義や演習によって、全く違った考え方を学ぶことができます。入学した当初は、授業がバラバラにしか理解できませんでしたが、4年生になって、複数の問題は相互に関連し、つながっていることが面白いと感じるようになってきました。

ちなみに、卒業論文はどのようなテーマを扱う予定ですか?

「若年結婚問題」をテーマに研究を進めています。世界の至る所で、女の子が10才という若さで結婚させられる問題があります。ほとんどの場合は、結婚相手は何倍も年上の人で、結婚後は学校へ通うことができなくなるケースが多く見られます。また、腰などが未発達の状態で子供を産まされ、自分の家族とはもう会えない状態で、奴隷のような生活を送っています。今後は一つの地域に絞り、解決策を考察していきたいです。

ゼミの様子はいかがですか?

私のゼミでは、大学院生の方といっしょに自分の研究を発表します。誰一人として似たような研究をしてないので、毎回ゼミの時間はさまざまなテーマの問題と分析が知ることができ、面白いです。最近では、フィリピンの歴史、台湾の少数民族についての発表を聞き、ディスカッションを行いました。指導教員の中坂恵美子先生は本当に優しくて、自然と私の表情も和らぎます。中坂先生には、主に国際法を教えていただいています。国際法は、留学後から本格的に勉強を始めたので、まだまだ基礎を固める必要がありますね。

広島大学に在学中、どこかへ留学されていたのですか?

広島大学の短期交換留学(HUSA)プログラムを利用し、イギリスのマンチェスター大学に2年生の後期から3年生の前期まで9カ月間留学しました。マンチェスター大学では、発展途上国の開発学を主に勉強しました。

約9割雨が降っているマンチェスターでは、天気が良いと外でご飯を食べることが多かったそうです

寮のルームメイトとマンチェスター・ユナイテッドの試合を観戦

珍しく天気の良いロンドンでの1枚

留学中の印象的な出来事について教えてください!

留学中は本当に友人に恵まれました。家族のように仲良くなった16カ国の16人と一緒に、2週間おきに異文化交流イベントを企画していました。その中で、日本の紹介をするパーティー「ジャパニーズ・イブニング」を主催したことが一番印象に残っています。

「ジャパニーズ・イブニング」について詳しく教えてください。

当日は、日本についての楽しいプレゼンを30分ほど行い、日本料理を振る舞いました。私は主催者として、テーブルを歩き回り、お客さんと日本の話をしました。また、「折り紙」や「英語版カルタ」を楽しんでもらう機会も設けました。

当日を迎えるまでの準備はとても大変でしたが、私自身も日本文化を詳しく知る経験ができたと思います。メンバーに日本料理をレクチャーしたり、いかにチケットを買ってもらえるかを考えたり・・・。イベントの3日前に、85枚のチケットが売り切れたときは、本当に嬉しかったですね。

ジャパニーズ・イブニングが無事に終わり、最後にメンバーみんなで記念撮影

充実した留学生活が送れていたのですね!将来については、どう考えていますか?

広島大学に入学する前までは、日本語をしっかり勉強し、その後はアメリカへ帰って仕事をしたいと思っていました。しかし、日本のスタイルを肌で感じ、もっと日本のビジネススタイルを経験してみたいと思うようになり、卒業後は日本で働くつもりです。

最後に、広島大学を受験しようと考えている〝未来の広大生〟に向けて、メッセージをお願いします!

私は広島大学を選んで本当に良かったと感じています。とても温かい環境だと思います。さまざまなことにチャレンジできる機会を大学はたくさん用意しています。私が利用したプログラム以外にも留学できるプログラムはたくさんありますし、毎年夏に開催される「INUセミナー」も素晴らしいイベントです。世界のさまざまな大学の先生や学生と共に、平和について考えることができました。また、東広島市は外国人や留学生が多く国際交流が盛んな街です。広島大学への受験を考えている皆さんも、この場所で素敵な経験をしてくださいね!

2015年5月25日 記事・写真/広報グループ(i)、取材場所/文学部付近ベンチ


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