第45回 広大は自分の可能性を引き出してくれるところ

等身大の広大生の声を、受験生・高校生のみなさんへお届けする『広大生、先輩インタビュー』。第45回は、教育学部第四類(生涯活動教育系)造形芸術系コース4年山崎 壱大(やまざき いちた)さん(神戸龍谷高等学校出身)です。



山崎さんを初めて知ったのは広大の制作展でした。彫刻作品からただならぬ気配を感じて取材を申し込んだところ、意外にも大学に入るまでは美術とは無縁だったとのこと。空手少年だった彼がなぜ美術の世界に足を踏み入れたのか、それは彼自身が描く明確なビジョンに突き動かされての行動でした。

広大を受験しようと決めたきっかけは何ですか?

教育に携わりたいと強く思っていましたが、当初志望していた大学では教員免許は取れても教育学を専門には学べませんでした。そこで改めて進路について考え直したところ、教育学を専門的に学べ、西日本では教育学部が有名な広島大学を受験することに決めました。

いまのコースを受験しようと決めたのはなぜですか?美術が好きだったのですか?

いいえ。6歳からずっと地元の道場で空手をしていて美術とは無縁でした。教育学部に進み、教員になりたいと考えていたものの、教科は決まっていなくてセンター試験が終わってから何の先生になろうかと考えた時に、面白そうでやりがいがあると思い美術に決めました。

6歳から高校卒業まで続けた空手

美術だと受験の形式は特殊ですよね、準備が大変だったのでは?

大学のアトリエでお話を伺いました

国立大学受験を視野に勉強をしていたのですが、センター試験が終わってから芸術コースを受験することに決めたため、受験科目である石膏デッサンを急ピッチで習得しなければなりませんでした。地元の画塾(※)に受験対策で申し込み、一ヵ月弱毎日8~10時間でデッサンを徹底的に学びました。デッサンに関してはとにかく初心者で初めて描いた石膏デッサンは実物との違いにショックを受けましたが、時間もなかったのでただがむしゃらに努力しました。一般入試(前期日程)での受験だったので、面接や論文はありませんでした。
(※)画家などが任意に主宰する絵画の私塾。絵画教室。

どのような経緯で彫刻を選択したのですか?

1、2年の時は教養科目もありますが、デザインや絵画・工芸・美術教育など美術の基礎を多岐にわたって勉強し、3年で「絵画」「デザイン」「工芸」「彫刻」の中から彫刻を選択しました。1年の時、初めての実技で褒められたのが彫刻だったので、すがる思いで決断したのですが僕がテーマにしている「人間関係」を直接的に表現できるので、今思えば自分に合っていました。2021年に第33回東広島市美術展に出品し、「開館記念特別賞」を受賞してさらに自信につながりました。今は研究対象として自分と感性の近い作家を数人選んで自分の作品との特徴や欠点などを比較しながら卒論の作成と卒業制作展の準備をしています。

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第33回東広島市美術展「開館記念特別賞」受賞作品

広大に入学して良かったことは何ですか?

広大に来て良かったと思うのは、美術の基礎が無かった僕に対しても初心者扱いするのではなく、個を尊重し一人の学生として自分に寄り添ってもらえて成長するきっかけを与えてくれたことです。こんなことを言うのは恥ずかしいですが、先生に恵まれていたと思います。何も知らないことを良しとして、「じゃあ今から何ができるのか」という考え方で指導していただきました。何事も自己を尊重して的確なサポートでいい方向に導いてくださいました。

学生生活について教えてください。

大学の制作展では代表を務め、会場や運送会社の手配、広報など実務的なことも手掛けています。また、ポスターや動画の作成などをするデザインサークル「アトリコ」の代表として活動していました。現在は後輩に引き継いで引退しましたが、その関係で青年会議所と協力して東広島美術館前の広場に巨大なバルーンアートを制作するプロジェクト「光のアートガーデン」に展示設計として参加しています。2021年11月19日頃にイルミネーションとともにお披露目される予定です。

「光のアートガーデン」の展示設計プランを製作中

授業がある平日のスケジュール

8:00 起床
9:00~ 朝食
10:00~17:00 授業
18:00 夕食
19:00~21:00 映画鑑賞など
21:00~22:30 筋トレ・ジョギング
23:00~ 授業の準備等
25:30 就寝

以前は飲食店やイベント設営などのアルバイトをしていましたが、今はあまりしていません。卒業制作展や論文、進路の準備をしています。

大学のサポート、福利厚生施設についての感想をお願いします。

大学のサポートはすごく手厚いと感じます。他学部で1年間、英会話の授業を受けて文化交流のためオーストラリアに10日間留学しました。自分たちが学べる場を提供してもらい感謝しています。パソコンが壊れても学内の生協ショップに持っていけば直してくれますし、学生証を落としても誰かがちゃんと届けてくれます(笑) 食堂年間定期券の「ミールカード」を利用しいて、自炊をしなくても学食で快適な食生活が送れています。

シドニー異文化体験プログラム英語コミュニケーション講座で留学中のシドニーにて

将来の目標や夢を教えてください。

それぞれの多様性を尊重し、マイノリティーな生徒にも寄り添える教員になりたいです。
自分の求める教師像に自分がなることで少しでも教育の現場がよくなればと思います。現在4年生なので理想の教師像を目指して大学院に進む準備をしています。

最後に広大への入学を考えている後輩へメッセージをお願いします!

自分に自信が無くて稚拙だなと思う考えでも、広島大学は受け止めてそれに応えて全面的にサポートしてくれます。思いを自分だけで抱え込まず、ぜひチャレンジしてみてください。

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令和3年度 広島県 Web公募美術展入選作品

 

2021年10月 取材・写真/広報グループ(M)
取材場所/教育学部美術棟彫刻室


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