第6回 少しでも興味を持ったことには、なんでもチャレンジ!

生物生産学部 生物生産学科2年 稲村 尚美(いなむら なほみ)さん
<京都教育大学附属高等学校 出身>

等身大の広大生の声を、入学希望の方にお届けするコーナー『広大生の生の声』。第6回は、生物生産学部2年・稲村尚美さん。

生物生産学部の研究者養成特別コース(※)で勉強に励むかたわら、アルバイトや留学など、いろいろなことにアクティブに取り組んでいる稲村さん。受験時のエピソードや、そのアクティブさの秘訣について聞きました。
 

広島大学を受験しようと思ったきっかけは?

実は、最初は違う大学を志望していたのですが、センター試験の点数が足りなくて…。塾の先生や両親と相談して、広島大学はキャンパスが広いし、国からの研究費の補助も多くて施設も整っていると聞いたので、いいなと思ったんです。
あと、二次試験に英語が必要だったから!私は、英語にはかなり力をいれていて、中学1年生の頃から英語の塾に行っていました。せっかくなら、それを二次試験で生かせるところがいいなと思い、決めました。 
 

なぜ、英語の勉強に力をいれていたのですか?

私には姉が2人いるんですが、2人とも英語がすごく得意で、姉の紹介で英語の塾に入りました。その塾は、大学入試専門で結構厳しいところだったので、いやでも英語が得意になりました。親からも「英語はいずれ必要になるから、しっかりやっておきなさい」と言われていましたね。
 

英語の塾以外にも行かれていたのですか?

はい、他の教科については別の塾に通っていました。家にいて一人で勉強するよりも、塾の先生に「次はあれをして、これをして」と、指示してもらうほうが勉強しやすかったので、毎日、朝から晩まで塾の自習室に通っていました。
分からないところがあったらすぐに先生に聞くことができるし、周りのみんなも勉強しているので集中しやすかったですね。
 

「懐かしいな~!」と、当時のノートを見つめる稲村さん

赤字でびっしり書きこまれた英語のノート
 

大学で英語を学ぼうとは思わなかったのですか?

英語は「得意」だけど、「好き」とはちょっと違う。英語を一つのツールとして使って、他のことが勉強したいとは思っていましたが、英語自体を学ぼうとは思いませんでした。

一番興味があって、勉強していて面白いのが生物だったので、農学系に進もうと思っていたんです。
高校時代、生物の教科書に「青いバラ」が開発されたという特集ページが載っていて、すごく興味をひかれて授業中にずっとそのページを見ていました。青いバラを開発するのに、大勢の大人が何十年もかかって創り上げたっていう話を知って、「すごいなー!」と思ったんです。自分でいろいろ調べているうちに植物に興味を持つようになり、生物生産学部に決めました。
 

受験勉強で苦労したことは?

理系なのに、理系科目が全然できなかったんです(笑)。生物や化学は覚えることが多かったんですが、私は暗記が苦手。なかなか成績が伸びなかった。でも、塾の先生に、「ちゃんとやっていたらセンター試験の一週間くらい前にぐんと伸びるから大丈夫!」と言われ、その通りに勉強していたら、本当にセンター試験で一番いい点が取れたんです!
 

すごい!今までの積み重ねがあったからこそだと思いますが、本番に強いタイプなんですか?

試験当日はめちゃくちゃ緊張したけど、同じ教室に同級生がいたし、実は、英語のテストの時に、1分くらい寝てしまったんです。最終日だったのできっと疲れていたんでしょうね。帰りに、友達にそのことを話したら「どんだけ肝がすわってるの?心臓に毛がはえてるんじゃない?」と言われました(笑)。寝たのは問題を解き終わった後だったので、点数自体はばっちりでした。 
 

今度は、入学後のお話を聞かせてください。入学してよかったことはありますか?

入試のときに初めて東広島キャンパスに来たんですが、すごく広くてびっくりしました。第一志望の大学ではなかったから「ちょっとな~・・・」という気持ちも正直あったのですが、今は来てよかったと思っています。友達も、私と同じように県外から来ている人が多いし、自分とは全然タイプが違う人もたくさんいて、話していて勉強になります。
研究者養成特別コースの先生とよく話をしますが、親身になって相談にのってくれるし、気軽に話すことができます。
 

生物生産学部の研究者養成特別コースでは、早くから卒論研究をしたり、研究に関する特別なセミナーや実習などを行ったりしていますよね。将来は研究者になろうと?

実は、入学後に初めてそういうコースがあることを知ったんです。研究者になりたいとまでは正直思っていなかったんですが、将来的に植物の開発に携わりたいと思っていたし、大学院には行くつもりだったので、すぐに応募しました。

コースには、私を含めて2年生が10人います。同じ学部でも、好きなことが全然違っていて、そういう人の話を聞くのはすごく楽しいです。分野は違うけど、同じ目標に向かっていて、みんなすごくアクティブ。魚にすごく詳しくて、一人暮らしなのに家でフグを飼っている友達もいれば、シャーレに粘菌を入れて飼っていた友達もいます。ちょっと変わっているけど、すごく面白いです。 
 

稲村さんも、家で植物をたくさん育てているんですか?

家では小さな観葉植物を育てている程度ですが、花屋でアルバイトをしています。
植物に関係する仕事で、一番消費者に近いのは花屋だと思うので、将来、新たな品種を開発したときに、その仕事を経験していた方が、消費者に使ってもらいやすいかなと思ったからです。あと、単純に花の知識が身につくと思ったのもありますね。

花の名前や育て方は、お客様にもよく聞かれるので、勉強して大体覚えました。
華やかなイメージがありますが、力仕事や水仕事が多く、結構ハードです。でも、自分の好きなことが学べるので楽しいですね。
 

稲村さんは、勉強やアルバイトで忙しい中、STARTプログラムに参加してオーストラリアに行かれました。応募のきっかけは?

以前、STARTプログラム(※)に参加した友達に、「すごくアクティブで学習意欲の高い人が集まるよ」と聞いたんです。広島大学はキャンパスが広いから、文系の学部の人とは距離が離れているし、全然話したことがなくて。そういう文系の学部の人たちの中でも、海外で勉強したいと思っている人が集まる場所って、きっと自分も刺激を受けるだろうなと思い、応募しました。
 

なるほど。現地ではどんなことをしたんですか?

ほとんど授業だったんですが、英語でプレゼンテーションする機会がすごく多かったですね。ジェスチャーやアイコンタクト、話のトーンに変化をつける、といった単純なことが、意外とできていないことに気づかされました。そういった、簡単だけど基本的なことを踏まえて発表した方が、将来研究者になったときに、自分の研究内容をうまく人に伝えられるんじゃないかと思いました。
これからは、授業や研究室でプレゼンの機会があったときにぜひ使っていきたいですね。
 

そうなんですね。印象に残っていることは?

最後のまとめのプレゼンテーションです。私のグループは「捕鯨」がテーマでした。オーストラリアの人の多くは、捕鯨反対の立場にいるということは知っていたんですが、実際に現地で学生に話を聞くと、捕鯨の話をした時点で「ありえない」という反応。話題に出すこと自体がタブーな感じでした。「日本人は、鯨の肉を食べるんでしょ?」と必ず聞かれたし、現実とのギャップを感じて、お互いの意識の違いがここまであるのかと思いました。
 

難しい問題ですね。英語でのやりとりは苦労しなかったですか?

最初は聞き取れないことが多かったですね。クラスの先生やホストファミリーはゆっくり話してくれるんですが、その他のネイティブの方たちは、私たちが英語が理解できる前提で話すので、最初は全然分からなかった。そういうときは、英語が得意な子に確認したり、本人に質問したりして理解しました。そうしていると、相手が話していることはだんだん分かるようになったのですが、自分の言いたいことが話せなくって。
それで、まずは現地の人が話している言葉で、使えそうな言葉をまねすることから始めたんです。そうすると、会話が少し長く続くようになりました。でも、2週間程度しかいなかったので、「英語ペラペラ」まではいきませんでしたね。
 

現地での授業。ディスカッションの様子
 

週末には、みんなでカンガルー島に行きました
 

帰国して、あらためて思うことは?

私は、海外でしかやっていない研究があれば海外へ行くのも仕方がないと思っているんですが、英語を勉強するために行く必要はないと思っています。でも、将来、論文を書くときに、英語だと世界中の人が読めるし、世界の人を相手に自分の研究を発表したり海外の研究者とチームを組んで研究したりするときに、英語が必要だと思います。

一緒にSTARTプログラムに参加した文系の友達は、長期の語学留学を考えている人が多かったんですが、実際に現地の大学に行ってみると、専門的なことはもちろん、テストも先生への質問もすべて英語なのに、今のままでは単位なんか絶対取れないだろうし、すごくつらいだろうなと、私も他のメンバーも実感しました。
今でも、一緒にオーストラリアに行ったメンバーと集まって話すことがありますが、さっそくTOEFLの勉強を始めてがんばっている人もいるし、明確な目標を持って進んでいる友人を見ると私も刺激を受けます。
 

稲村さんはいろいろなことに挑戦していますよね。モットーは? 

私は「やりたいと思ったことはとりあえず全部やる」というスタンスで生活しています。アルバイトも研究者コースもSTARTプログラムもみんなそう!私は頭もよくないし、普通の学生だけど、「ちょっとでも興味がわいたら調べてみる、やってみる」ということを大切にしていて、最終的にそれでだめだったとしても、やったことに意味があると思っています。
 

私も見習いたいです。最後に、広大に入学を考えている人にメッセージを!

受験勉強はすごくつらかった。今振り返っても、あれだけ勉強した一年間はないし、でも、あの一年があったからこそ、がんばれることも多いです。当時の自分をほめてあげたいですね(笑)。大学っていろんな人がいるし、いろんなことが学べるし、いろんな刺激をうける場所。

広島大学はキャンパスも広いし、自然がいっぱいだし、先生も親身になって相談や面談をしてくれるし、面白い研究もたくさんしているので、興味を持ってもらえるとうれしいです。
 

(※)STARTプログラム ・・・海外経験の少ない学部新入生を対象に、海外の協定大学やその周辺都市を訪問し、現地大学生との交流などを行うプログラム。期間は、長期休暇中に2週間程度で、参加費用の一部を大学が補助する。

(※)研究者養成特別コース ・・・生物生産学部の5つのコースとは別に、文部科学省の「理数学生育成支援事業」に採択されたことを受け、優れた研究者を養成することを目的に、平成23年度から生物生産学部に開設されたコース。1年次から学習意欲・目的意識を重要視したプログラムを実施し、2年次後期から通常のコースよりも1年早く卒論研究を開始する。

2013年5月13日 記事/K2(広報グループ)、写真/S(広報グループ) 取材場所/学生プラザ


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