ボランティア団体アイリスが福島県での新規復興事業に参加しました

2018年に起こった西日本豪雨災害により、広島県は甚大な被害を受けました。土砂災害や床上浸水により、多くの方が命を失い、また今なお仮設住宅での仮住まいを余儀なくされている方もいます。この豪雨災害をきっかけに発足した広島大学ボランティア団体「アイリス」。現在も広島県呉市安浦町を中心に各地で災害支援活動を続けています。活動は県内にとどまらず、2019年12月には福島県が募集する「大学生の力を活用した集落復興支援事業」にも参加しました。

今回はアイリスのメンバーとして活動されている中西咲貴さん(教育学部初等教育教員養成コース4年生)、東條太則さん(総合科学部3年生)に、福島県で新規復興事業の活動を中心にお話を伺いました。

「大学生の力を活用した集落復興支援事業」に参加したきっかけと活動内容を教えてください。

(中西さん)
きっかけはアイリス代表の勝部知早野(かつべ ちさの)さんです。勝部さんが、「もみじ」(広島大学学生向け情報ポータルサービス)で、この支援事業の募集案内を見つけ、アイリスの皆に教えてくれました。応募した理由は、2011年に起こった東日本大震災の現状と課題を知り、福島の地域の方々と本気で向き合いながら問題解決方法を模索したい、またこの経験を西日本豪雨災害支援において将来直面するであろう課題等に活かしたいと思ったからです。

(東條さん)
今年はこの事業に参加する1年目として、実態調査を目的に参加しました。調査は福島県葛尾村で行いました。震災後、福島原発事故の影響で全村民が避難することになって村の環境はどう変わったのか、またそこを訪れた自分たち大学生側にも意識の変化はあったのか、ということを調査しました。

調査を通して感じたことは何ですか。

(東條さん)
推測で行動してはいけないなと思いました。例えば、一口に「復興」を目指すといっても立場が違えば、何を「復興」とするのかそのとらえ方が違います。村民の方なのか、村役場の方なのか、県庁の方なのか。そして私たち大学生の中にもそれぞれに「復興」への想いが個々によって異なることを感じました。

「復興」という言葉にいろいろな意味が含まれていたのですね。

(東條さん)
そうなんです。私たちが予想していたのは、人口が増えてほしい、若い人や子供たちに戻ってきてほしい、そういう「復興」をイメージしていました。しかし聞き取り調査をすると、戻ってきてほしいという意見はもちろんありますが、人を呼び込むことから始めるのではなく、今ある自分たちの生活をより改善したい、まずは震災前の暮らしに戻りたいと考える方もいました。ただ、これも私たちが話を聞いた中での意見であって、個人の立場によっても意見が異なると思います。そのようなことも考慮しながら、調査結果から得たものを活かして、2年目は実際に地域の活性化のために活動を行う予定です。

福島県葛尾村での実態調査の様子(1)

福島県葛尾村での実態調査の様子(1)

福島県葛尾村での実態調査の様子(2)

福島県葛尾村での実態調査の様子(2)

他にもこの活動を通して、感じたことがあれば教えてください。

(中西さん)
葛尾村は福島原発事故の影響で避難を余儀なくされた地域です。もともと村民は1500人ほどいましたが、避難が解かれた今でも400人ぐらいしか戻っていません。しかし、葛尾村でのボランティア活動を通じて、この地域だからこそできること、人々のつながりで可能性が広がることを感じました。例えば、結婚式場が葛尾村にはないのですが、この活動期間中に、村の人たちで協力し合い、工夫しながら昔ながらの式を挙げました。

私は、「ボランティアの目的はニーズに応え、相手のために何かをすることだ」と考えて、葛尾村を訪問しました。しかし実際に行ってみると、村の人たちから気づきや思いやりをもらうことのほうが多かったです。

福島県葛尾村の皆さんとアイリスのメンバー

福島県葛尾村の皆さんとアイリスのメンバー

ボランティア団体「アイリス」の目指していることは何ですか?

(東條さん)
社会問題への意識を高めることです。西日本に災害が起こった時も初めは多くの人が強い関心を示し、被災地へ向かいました。しかし今では、アクションを起こす人は少なくなった、と感じます。支援が必要な現状を伝えることで、災害の風化を防ぎ、関心を持ち続けてもらいたいです。

東條さん

東條さん

アイリスの強み、弱みは?

(中西さん)
私たちの団体は11人しかいませんが、少数精鋭なんです。各々が災害支援についてとても強い思いをもって活動しています。またメンバー間では学年関係なく、意見を言い合い、受け入れる関係性があります。だからボトムアップもトップダウンも臨機応変に使い分けられるし、すぐに動ける、という良さがあります。ただ、災害支援では実務の部分で多人数が必要になるときもあります。それだけに他団体とのつながりを大切にしており、いざというときに連携し迅速に対応できるようにしています。

中西さん

中西さん

「つながり」について、詳しく教えてください

(東條さん)
アイリスは「つながり」を大切にし、「つながり」で成り立っている団体だと思います。例えば、災害意識を高めるために地域の人を巻き込んだイベントを開催しようとする。その時に、さまざまな方に協力していただき、集客の面でお手伝いしていただけたらとてもありがたいですよね。自分たちのつながりで人を結んで、できることを増やし、発展していくっていうのがアイリスなんじゃないかと思います。

アイリスの活動風景

アイリスの活動風景

イベント活動での展示

アイリスとして、これからどんな活動をしたいと考えていますか?

(東條さん)
西日本豪雨災害からの復興支援を軸に活動を行っているので、継続して西日本が復興できるように活動したいですし、大学生にしかできないことをやっていきたいと思います。柔軟にニーズに応え、つながりを大切にして、他団体との連携を図っていきたいですね。また、人数が少ないので団体としての基盤作りにも力を入れていきたいですし、先輩方からの引き継ぎもしっかりと行いたいです。

(中西さん)
私は現在4年生で卒業を控えているので、アイリスがどんな活動をするかは後輩たちに任せます。ただ、後輩メンバーには今後社会に出ていくためのコミュニケーション力をアイリスで高めてもらいたいと思っています。大学生は同世代の人との関係がほとんどですが、世代が違う人たちと積極的に関わり対人スキルをどんどん磨いてほしいですね。アイリス出身であることに誇りをもてるような団体であってほしいと思います。

取材を終えて一言

ええね広大!学生広報ディレクター 山本

中西さんも東條さんも他団体との絆やボランティア活動中に知り合った人との縁を大切にお話される姿が印象的でした。また、多様な個性や特徴を持った1人1人が協力し、災害支援という1つの目的を果たすこのアイリスの姿はこれからの組織に求められるあり方を体現していると感じました。

「ええね広大!学生広報ディレクター」 山本千尋

【お問い合わせ先】
広島大学広報グループ

TEL: 082-424-6762
E-mail: koho*office.hiroshima-u.ac.jp
(*は半角@に置き換えた上、送信してください)


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