第21回 学問、恩師、仲間。入学前には想像できなかった出会いがいっぱい!

文学部人文学科文化財学コース4年 安部 麻奈美(あべ まなみ)
<岡山県立高梁高等学校出身>

「入学前はまさか文化財学コースに進むとは思わなかった」と話す安部さん。文化財学コースでは何が学べるの?受験生時代の話やキャンパスライフの様子などを交えてお話を聞きました。

広島大学を受験しようと決めたのは、なぜですか?

センター試験の点数が決め手の一つですが、自分が何を学びたいのか、何が学べるのか、という点に注目して大学を探し、広大に決めました。文系の科目が好きだったので文系に進もうと決めていましたが、当時は「これが学びたい!」と言うものがまだ決められなくて・・・。広大の文学部は文学だけでなく言語、哲学・思想、歴史、文化財など、学べる分野がたくさんあるので、「選択肢が広がっていいな」と思ったのが最後の決め手です。広大の文学部では1年生の時に専門科目への導入として「入門科目」の授業を受講します。そして、1年生の終わりにコース・専門分野を決めます。他大学では入学前にコースを決めないといけないところもあるので、そこも魅力的でした。

私学は受験しましたか?

私学も受験しました。でも、もともと国公立大学への進学を志望していたので、広大に受かって嬉しかったです!

受験の準備はいつごろから始めましたか?

部活を引退した高校3年生の8月半ばからです。それまでも日々の授業を大切にして定期テストの勉強を頑張っていたので、まったく勉強してなかったわけではありません。ただ、受験勉強を始める時期が遅かったので、焦りは少しありましたね。

予備校や塾には通っていましたか?

英語に関しては小さい頃から英会話教室に通っていましたが、他の教科は予備校や塾に通わず学校や図書館で勉強しました。授業前や放課後に学校でもらった問題集をひたすら解いて、分からないところがあると先生にすぐ聞きに行きました。間違えやすい問題や覚えづらいところはノートにまとめて、いつでも繰り返し見れるようにしていましたね。私は数学が苦手だったので、先生にわかるまで繰り返し質問し、一番時間を割きました。わからない問題をわからないままにしないように気を付けていましたね。特にテスト週間は放課後に職員室に行き、1対1でみっちり教えていただきました。

受験時代のファイルを眺める安部さん

受験勉強で苦労したことはありますか?

2月に入って不安から勉強が全く手につかなくなった時期がありました。その時はつらかったですね。

どうやって乗り越えたのですか?

友達や両親に不安な気持ちを聞いてもらい、支えてもらいました。あと、勉強をするときは勉強する、休む時はとことん休むというようにメリハリをつけるようにしました。休むと決めた日はひたすら寝たり、おいしいものを食べたりして(笑)しっかりと休養をとるようにしました。

受験時代を振り返る安部さん

そして見事に前期試験で合格!実際に入学されて広大はいかがでしたか?

私は岡山出身なのでまだ近いとは言え、初めての一人暮らしということもあり最初は不安でいっぱいでした。でも、新入生オリエンテーションキャンプですぐに友達ができたし、先輩から授業の取り方について丁寧に教えてもらえて心強かったのを今でも覚えています。

他学部の授業は履修しましたか?

はい。入学前から他学部の授業も受けたいと思っていました。文学部は自由選択科目の領域で他学部の授業を履修できるので、教育学部・法学部・総合科学部の授業を受けました。

たくさん履修されたんですね!では文化財学コースではどのようなことを勉強しているのですか?

文化財学コースでは、日本や東洋の美術、古建築、工芸の3つの分野の授業があります。授業の一環で展覧会を見に行くこともありました。展示物を実際に見ながら、作品の時代ごとの特徴の見方について学びました。国宝を見る機会もたくさんあり、日本で受け継がれてきたものを知るなかで日本の文化について深く考えるようになりました。工芸の授業では、さまざまな工芸品を作る実習があって特に楽しかったですね。

実習で作った工芸品

もともと文化財に興味があったのですか?

入学前はあまりなかったです。文化財の授業を受けて興味を持ちました。担当の三浦正幸先生はいつも本当に楽しそうに、お城などの文化財の話をしてくださるんです。先生のお話を聞いて私もワクワクしました。授業をきっかけに、三浦先生のゼミに入ることを決めました。

先生の指導や研究室の雰囲気はどうですか?

現在、卒業論文の指導を受けています。先生がいつもとても親身に話を聞いてくださるので、はかどりますね。卒業論文の指導は先生と1対1で受けますが、研究室では研究について他のメンバーにも相談します。文化財学には、大学院生と学部生が一緒に勉強できる部屋があるんです。学年を超えて異なる視点からの意見が聞けるのが新鮮ですね。雰囲気も和気あいあいとしていて話しやすいです。

「研究室は和気あいあいとしている」と話す安部さん

研究に打ち込むにはもってこいの環境ですね!ちなみに、卒業論文のテーマは?

私は昔の建造物の研究をしています。建物の外観の意匠を取り上げ、そこからわかる地域の特色は何かを考察しています。たとえば、町家の1階正面に取り付けられている格子の種類を見たり、格子の木のすり減り方からその格子が設置された年代を探ったりします。地元に関係することがしたかったので、地元に近い成羽町吹屋地区(岡山県高梁市)の建造物を調査対象にしています。吹屋は国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されています。この研究を通じて、吹屋の地域性や、重伝建としての意義、保存・修景作業への応用などを考察したいと考えています。当たり前ですが、文化財は待っていても自分の方へ来てくれません。「現地へ足を運ぶこと」「直接見ること」が不可欠な学問なので、自分の足と目をとにかく使うことを大事にしています。

文化財学では幅広い文化財の中から自分でテーマを選び研究をします。みんなそれぞれ違った研究をしているんですよ。神社やお城の研究をする人もいれば、芝居小屋や神楽、仏教美術、陶磁器について研究する人もいます。自分の研究対象以外の文化財についても知る機会があり面白いです。

吹屋の町並み

町家の格子

サークル活動やアルバイトはしていますか?

1.2年生の時は大学祭実行委員会に入っていました。入学前は大学祭と言うと「遊びに行くところ」というイメージしかなかったのですが、実行者側として大学祭の企画・運営に携わることができて貴重な経験となりました。文学部以外の友達もたくさんできましたよ。

3年生からはアクセシビリティセンターの学内インターンとして障害のある学生の就学支援のお手伝いをしています。最近は週3回ほど活動しています。支援する学生と一緒に講義に出て、講義内容を要約してパソコンに入力するなどしています。要約作業はスピードが求められるので最初は大変でしたが、「要点をつかむ力」が鍛えられたと思います。

大学祭実行委員の集合写真

広大に入って良かったことは何ですか?

たくさんの出会いがあったことですね!高校生の時には想像できなかったくらい、いろいろな人に出会いました。広大は一つのキャンパスに複数の学部があり、教養科目では学部を超えて一緒に授業を受けます。学部はもちろん、育った環境や興味の対象が異なる人たちに出会えるところが総合大学である広大の魅力だと思います。私の周りの人は留学やサークル・ボランティア活動などさまざまなことに挑戦しています。積極的に行動する姿を見たり、私の経験したことのないことを聞いたり、いい刺激を日々受けています。「私もこんな人になりたいな」と思える人にも出会えました。それは私の友人なのですが、彼女はいつもニコニコと笑顔を絶やさずに、何をするにも楽しみながらチャレンジしています。彼女を見習って前向きな姿勢を持つようになりました。広大には本当に濃い個性を持つ人ばかりで・・・。いろいろな価値観に触れて入学前よりも視野が広くなったと思います。広大での出会いは今後の糧になると思っています!

刺激を受けて、何かチャレンジしたことはありますか?

3年生の夏休みに、離島である長崎県対馬市に1週間行きました!私はもともと積極的に何かをやるタイプではなかったのですが、周りの友達がいろいろなことに挑戦しているのを見て、自分も何かやってみようと思い参加しました。

対馬にて

離島とは思い切った挑戦ですね!そこで何をされたのですか?

離島である長崎県対馬市に行って地域振興について学ぶフィールド研修「対馬市島おこし実践塾」に参加しました。地域振興についての講義を受け、ご年配の方しかいない地区で古民家の掃除や荒地の開拓、海岸に流れ着いた漂着ゴミの回収など体力仕事もしました。全国から約30人の学生や社会人の方が参加したのですが、グループワークもあり、私のグループは志多留地区のプロモーションビデオの制作をしました。研修中は地元の方の家に宿泊させてもらい、食事は婦人会の方が用意してくださいました。参加者だけでなく、地元の方ともたくさんお話する機会がありました。

グループワークで島の魅力を付箋にたくさん書き出しました

研修に参加してどのように成長できたと感じていますか?

まったく知らない土地に行くのは不安でしたが、研修に行かなければ出会えなかった人、見ることができなかった景色がありました。この時に「自分が行動し、足を運ぶこと」の大切さを学びました。この研修に参加して以来、積極的に行動できるようになったと思います。また、この研修は将来の仕事について考えるきっかけにもなりました。研修前から地域振興について興味があったのですが、研修に参加してみてさらに興味が深まり、将来は地域振興に関わる仕事に就きたいとの明確な目標ができました。

対馬市島おこし実践塾の参加者たちと

卒業後の進路について教えてください。

卒業後は岡山県に戻り、公務員として働きます。岡山県に住んでいる人が「住んでいて良かったな」と思え、たとえ岡山県を離れても「また戻ってきたいな」と思える街になるように貢献していきたいです!今の友達と離れるのは少しさみしいですが・・・。

周りの友達も卒業後の進路はもう決まっていますか?

はい。だいたい決まっています。公務員になる人もいれば、一般企業に就職する人、大学院に進学する人もいます。文学部は「就職活動に不利かも」と世間では言われているかもしれませんが、周りの友達はほとんど就職先が決まっていますし、学部は関係ないと私は思います。

広大への入学を考えている後輩に向けてメッセージを!

いまは受験勉強で苦しい時期だと思いますが、自分を追い込みすぎずにがんばってください。不安な気持ちがあれば周りの人に聞いてもらって、気持ちを吐き出してくださいね。息抜きがてら大学に入ってからやりたいことを考えてみるのもいいですね。広大はやりたいことがかなう場所です。たくさんの出会いも待っていますよ。やりたいことがまだ見つからない方でも大丈夫。入学後でも必ず見つかります!広大で自分がやりたいことにチャレンジしてください。

2015年12月15日 記事/広報グループ(F、i)、写真/広報グループ(i、G)、取材場所/「la place(ラ・プラス)」(マーメイドカフェ広島大学店)


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