第29回 映画業界に憧れ、文学部へ進学

等身大の広大生の声を入学希望の方にお届けするコーナー『広大生の生の声』。第29回は、静岡県立浜松北高等学校出身の文学部3年・松野 文彬(まつの ふみあき)さんです。文学部で日本文学を研究するかたわら、トライアスロン部でキャプテンも経験した松野さんに、受験時代や広大の授業、トライアスロン部での活動について聞きました。

広大を受験しようと決めたのは、なぜですか?

実は第一志望は他の国立大学で、私立大学も受けました。結果、広大は後期試験で受けることになったのですが、高校の担任や学年主任の先生に、「広大はいい大学だし、うちの先生の中にOBが何人もいるよ」と薦められて決めました。他の先生にも、「君は教師に向いているから、教育で評判が高い広大を受けてみたら?」と言ってもらえて。

文学部を受験しようと思ったきっかけを教えてください。

高1の時に、気になる職業やキーワードを元にして、自分に向いている大学や学部の候補を教えてくれるサイトのサービスを試したんです。当時は映画に興味があったので、「映画関係」「映画監督」というワードを提出したら、「文学部が向いている」という結果が出て。その時から「文学部に行くぞ!」と決めていました。

 

「高1の頃から文学部を目指していた」と話す松野さん

受験勉強はいつごろから始めましたか?

部活で野球をしていたこともあって、本格的に受験勉強を始めたのは高3の夏頃からです。スタートは遅かったですが、「部活生は引退後の伸びがすごい」と高校の先生が言っていたので、あまり焦りはなかったですね。実際に現役合格した先輩たちの姿も見ていたので。回数を重ねるごとに模試の点数が伸びたので、「このペースでいけば大丈夫」と、自分を信じて勉強していました。

何に力を入れて勉強していましたか?

全教科の基礎固めです。教科書や参考書を使って、内容を覚えるまで何度も復習しましたね。分からないところは必ず先生に聞いて、不安要素をつくらないようにしました。

あとは、苦手な国語です。今はいろいろな本を読むのですが、当時は本を読む習慣がなく、文章に対する耐性がなくて…。センター試験の過去問を何問も解いて、文章に慣れるようにしました。高校生には、受験をまだ意識していなくても、早いうちから本を読む習慣をつけることをお薦めします!文章に慣れてくると、読むスピードも上がるし、文章が論理的に見えてきますよ。

他に何かお薦めの勉強法はありますか?

日本史で、分かりづらい時代は「メモリーツリー」を書いて覚えていましたね。あるテーマを軸にして、関連する項目を家系図みたいに枝分かれでどんどん書き出していく方法です。メモリーツリーにまとめる過程でストーリーをしっかりと押さえることができたし、「この出来事が起こった時は、この人が出てくる」と、数珠つなぎに覚えることができました。

受験勉強で大変だったことは何ですか?

僕は国語の他に地理も苦手で…。苦手科目の勉強に行き詰ったときは、いったん逃げていました(笑)。好きな科目をやって気持ちを落ち着かせてから、苦手科目に取り組んでいました。部活をやっていた時に、「悩みすぎた時は完全に逃げるのもありだよ」と先輩からアドバイスをもらったことがあって、「時には逃げることも大事かな」と。試験日まで気持ちが途切れなかったのは、そのおかげかもしれませんね。

「時には逃げることも大事」という言葉が心を落ち着かせた

受験勉強中、リフレッシュしたい時はどうしていましたか?

勉強の合間に音楽を聴いて気分転換していました。その時の気分によって曲を選んでいたんですが、応援ソング系をよく聞いていましたね。

あと、週に1つだけ好きなテレビ番組を見ていいと決めていました。ずっと張りつめた状態でいるのは無理だったので、休むと決めた時は休んでいましたね。息抜きの時間を持つことで、メリハリをつけて勉強できたと思います。

次は入学後の話を聞かせてください。広大の雰囲気はどうですか?

広々としたキャンパスが、とても気に入っています。実は、広大の後期試験の前に、私立大学の合格通知を受け取っていたんです。東京にある大学だったので、「ドラマで見たようなキャンパスライフが送れそうだな」と、気持ちが傾いていました。でも実際に広大に来た時に、キャンパスの雰囲気がいいなと思って。「ここで4年間学びたい!」と、すぐに気持ちが変わりましたね。東広島キャンパス内には電柱がないので、空が広がって見えて、開放的で心地いいです。

静岡を離れての進学に、不安はありましたか?

はい。誰も知り合いがいなかったので、やはり不安でした。でも、新入生オリエンテーションキャンプで友達ができて、いいスタートを切ることができました。東広島キャンパスの周りはいわゆる「都会」ではないので、いい意味で閉鎖的と言うか…。必然的に学生同士の交流が密になり、友達の輪がすぐに広がりました。

今年の文学部オリエンテーションキャンプでの一枚。同期と団結して新入生をもてなした

映画監督に興味があって文学部に進学したとのことですが、授業はいかがですか?

これまで履修した授業は、映画に直接関係するものではなかったですが、どれも面白かったです。1年時に専門科目への導入として、「地理学」「考古学」「文化財学」などの入門科目を履修したのですが、今まで知らなかった分野に触れて視野が広がりました。

1年次の終わりに、次年度から学ぶ専門分野を「哲学・思想文化学コース」「歴史学コース」「地理学・考古学・文化財学コース」「日本・中国文学語学コース」「欧米文学語学・言語学コース」の5コースの中から決めます。また、僕が専攻している日本・中国文学語学コース日本文学語学では、「古代中世」「近世」「近代」「現代」とさまざまな時代の文学や文芸から研究対象を決めることができます。学びたいことを自由に学べるので満足しています。

現在どんなことを特に勉強していますか?

今は、「現代文学研究法」の授業で、昭和期の作家の作品において、「これまでにどんなことが研究されてきたか?」を学んだり、「古代中世文学演習II」の授業で、「ミミズ文字」とも呼ばれるくずし字を、読めるように楷書にし、現代語に訳したりしています。また、いわゆる「ゼミ」にあたる「現代文学研究会」では、研究発表や読書会、映画鑑賞を通じて、昭和以降の現代文学の研究をしています。

文学研究の魅力は、アプローチ方法がさまざまであるところ。どこに視点を置くかによって、同じ時代や同じ作家の作品でも、いろいろな考察がされています。作品だけでなく、先行研究の資料を読むことも多いです。

「本を読むことで、世界が広がる」と、文学の魅力を語る松野さん

授業で使う教材

ちなみに、卒業論文はどのようなテーマを扱うか、もう決まっていますか?

はい。作家・村上龍について研究する予定です。先日の研究発表会では、彼の作品を「身体性」という観点から考察して、発表しました。彼のデビュー作である『限りなく透明に近いブルー』を読んだ時に、「こういう本が書ける人は、どういう考え方をしているんだろう?」「他の作品はどんな風に書かれてるのかな?」と、すごく興味が湧いて。あと彼は映画もけっこう撮っているので、余計に興味がありますね。卒業論文は、村上龍についてだけでなく、「映画と文学の関係性」についても突き詰めていけたらいいなと考えています。

バイトや部活は何をしていますか?

バイトは、東広島市の名物料理である「美酒鍋」を出す店で週3回働いています。

部活は、中学・高校時代は野球部でしたが、「初心者でもできる」と聞いて、大学からトライアスロンを始めました。僕は昔から走ることが好きだったので、挑戦してみました。トライアスロンは個人競技ですが、部活動はチームワーク。チームであることを意識しながら、楽しく練習しています。今秋でキャプテンの座は引退しましたが、今後も活動は続けていきます。

競技大会での一枚

トライアスロン部の仲間たちと

今後の目標や夢を教えてください。

将来は、高校生の頃から興味があった、映画に携わる仕事に就きたいと思っています。これから始まる就職活動では、広大で学んだことをしっかりとアピールして、希望の業界に決まればいいですね。

部活は、来年の日本学生トライアスロン選手権大会(インカレ)まで続けるつもりです。研究や就活がありますが、できるだけ練習にでて、大会ではいい成績が出せるように頑張ります!

未来の広大生へのメッセージ

広大は自分のやりたいことに挑戦できる、自由で素晴らしいところです。受験勉強は大変だと思いますが、今は精一杯がんばって、この自由を勝ち取ってください。「苦労なくして得るものなし」。努力した先には、素晴らしい環境が待っていますよ。

部活に時間を取られて、なかなか勉強に手が回らない…。そんな人も多いかと思います。でも、今は、高校でしかできない部活に思う存分打ち込んでほしいと思います。何事も中途半端はよくないと思うので。僕も部活をしていましたが、引退後に必死で勉強したおかげで、こうして大学生になれました(笑)。部活でも、受験でも、最後はみなさんの笑顔が咲くことを願っています。応援しています!

2016年12月6日 記事・写真/広報グループ(F、i)
取材場所/文学部会議室、サタケメモリアルホール前


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