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南米に移住した被爆者の実情浮き彫りに、医学資料館で調査資料など展示

 在ブラジル原爆被爆者協会が1988年に実施した被爆者アンケートなど、同協会から広島県医師会に寄贈された資料を初めて展示する「イペの花の下の被爆者」が広島大学霞キャンパスの医学資料館2階で開かれています。入場無料、5月17日まで。
 アンケートは同協会がブラジル、ボリビア、アルゼンチン、パラグアイ、ペルーの南米5カ国の被爆者188人に配布し、139人から回答を得ました。0歳から20歳代に広島、長崎で被爆した後に移住した人たちで、直接被爆が106人、入市被爆が56人、胎内被爆が2人など。健康管理手当、医療特別手当など被爆者手当を受けている人は1人もおらず、申請が認められなかった人が30人、手当のことを知らなかった人は43人いました。
 「入院は赤貧のためできなかった」「海外移住は、被爆を忘れるためでもある」「なぜ国内の被爆者と同等の援護をうけられないのか」…。アンケートにつづられた記述からは、在外被爆者が置かれていた厳しい状況がうかがえます。
 県医師会の要請を受けて、広島大学原爆放射線医科学研究所(原医研)が今年3月から寄贈された資料の整理と解析を行っていました。会場では、アンケートの実物や同協会の活動を記録した本や会報、在外被爆者訴訟を取り上げたブラジルの日本語新聞の記事など計約60点を展示。南米被爆者の歩みを示す年表や広島の移民の歴史、広島の医師団による現地での健康相談事業についても紹介しています。
 原医研の久保田明子助教は「南米で生き抜く被爆者の生の声を通じて、十分な治療が受けられない実情や切実な訴えを知っていただければ」と話しています。

ブラジルから届いた資料を紹介する久保田助教

南米5カ国の被爆者139人から寄せられた1988年のアンケート

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ぜひ、この機会に医学資料館へお越しください。
多くの皆様のご来場をお待ちしております

 

【お問い合わせ先】

広島大学原爆放射線医科学研究所 附属被ばく資料調査解析部
TEL:082-257-5877
FAX:082-257-5878
E-mail:kohosha*hiroshima-u.ac.jp(注:*は半角@に置き換えてください。)


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