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【研究成果】高エネルギー電子による光渦放射の精密観測に成功

分子科学研究所の加藤政博教授、広島大学の佐々木茂美名誉教授、名古屋大学の保坂将人特任准教授らは、高エネルギーの電子が光渦と呼ばれる特異な光を放射する現象を精密に観測することに成功しました。高エネルギー電子が螺旋運動する際に放出するシンクロトロン光の中心に位相特異点と呼ばれる光渦特有の構造が存在すること、エネルギーの高いシンクロトロン光ほどその波面が密な渦構造となっていることを世界で初めて実験的に示しました。また、高エネルギー電子がこのような特異な光を放射する機構を、相対性理論を用いて説明することに成功しました。これらの成果は、今日、基礎学術研究から産業利用まで広く利用されているシンクロトロン光の新しい利用法の開拓に結び付くものであるが、さらに重要なことは、宇宙の様々な場所に広く存在する高エネルギー電子によって自然現象として光渦が放射されることを理論的・実験的に明らかにした点です。光渦という奇妙な光が自然界でどのような役割を果たしているのか、未踏の研究領域の存在を示す成果です。

本研究成果は、2017年7月21日に英国の科学雑誌 Scientific Reports オンライン版に掲載されました。

円運動する電子が放出する光の波面.光は図の上方へ進行している.電子は基本波と呼ばれる光以外に基本波の整数倍の振動数(整数分の一の波長)をもつ倍波を合せて放出する。基本波は通常の光と同じく波面が平面であるのに対し、倍波は波面が螺旋状になる. 

論文情報

  • 掲載誌:Scientific Reports
  • 論文タイトル:
    Helical Phase Structure of Radiation from an Electron in Circular Motion
    円軌道放射の螺旋波面構造
  • 著者:
    M. Katoh, M. Fujimoto, N. S. Mirian, T. Konomi, Y. Taira, T. Kaneyasu, M. Hosaka, N. Yamamoto, A. Mochihashi, Y. Takashima, K. Kuroda, A. Miyamoto, K. Miyamoto, S. Sasaki
  • 掲載日:2017年7月21日
  • DOI:10.1038/s41598-017-06442-2
【お問い合わせ先】

<研究に関すること>
佐々木 茂美(ささき しげみ)
広島大学、名誉教授
E-mail:sasakis*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)

加藤 政博(かとう まさひろ)
分子科学研究所、教授
TEL:0564-55-7206 FAX: 0564-54-7079
E-mail:mkatoh*ims.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)

保坂 将人(ほさか まさひと)
名古屋大学シンクロトロン光研究センター、特任准教授
TEL: 052-747-6565 FAX: 052-747-6503
E-mail:m-hosaka*nusr.nagoya-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)

<報道に関すること>
自然科学研究機構・分子科学研究所・広報室
TEL/FAX: 0564-55-7262
E-mail: kouhou*ims.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)


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