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広島大学と(株)村上農園がビタミンB12入りカイワレ大根を共同開発



【概要】

教育学研究科佐藤一精教授は「ビタミンB12を含有する野菜および製造方法」を発明し,カイワレ大根にて実証しました。広島大学特許(出願中)を申請中です。

地域共同研究センターの松井亨景教授と吉田敬助教授は,地場企業,(株)村上農園へ本特許の技術移転を企画し,2002年から広島大学(教育学研究科佐藤教授,地域共同研究センター松井教授)と村上農園(加茂慎太郎次長,菅崇朗研究員)との量産化のための共同研究が始まりました。

およそ1年間を経て量産化技術の目途が立ち商品化の段階に至りましたので,日刊工業新聞社の取材を受け,2004年1月15日同新聞の1面に掲載されました。



【技術】

ビタミンB12は欠乏すると深刻な健康障害に至ることがありますので,菜食者や老人などは安定したビタミンB12の供給源が必要です。しかし,ビタミンB12を含む天然の植物は存在しないことから,佐藤教授は,ビタミンB12を野菜に導入する方法について研究してきました。一般家庭の食卓に馴染みの食材であるとともに,栽培期間が5日程度と短いカイワレ大根に着目し,食品添加物に使用されているビタミンB12の水溶液を吸収させ,カイワレ大根にB12を導入することに成功しました。

村上農園の研究員らは大学との共同研究の結果,必要なビタミンB12含有量になる添加量,温度,湿度などや,生産コストにも見合う最適な栽培条件を見いだし,通常のカイワレ大根と同様の栽培法を確立しました。カイワレ大根1パックには3.1マイクログラムのビタミンB12を含有するため,1パック分で成人が1日に必要なビタミンB12量の2.4マイクログラムを充分に補うことができます。

 

【村上農園】

村上農園(広島市佐伯区,村上秋人社長,082-923-6080)は,カイワレ大根やスプラウトの生産・販売する企業で,地域では有力企業であり,カイワレ大根生産におけるトップメーカーです。

同社は,この度の広島大学(教育学研究科,地域共同研究センター)との共同研究から,ビタミンB12を含むカイワレ大根の量産技術を確立しました。自然の植物からは摂れないビタミンB12入りの野菜を量産するのは,国内では初めてです。

3月に千葉県東金市の東京農場で1日1万パックから生産を始め,機能性が高い食品として新市場を開拓することとしています。



【商品化計画】

 東京農場のカイワレ大根生産工場には,1億〜2億円を投じてビタミンB12入りの専用生産設備を新設します。7月には1日10万パック,12月までには30万パックに増産できる体制を整える予定です。

販売価格は,通常品が1パック60円程度に対して,100円に設定する予定です。発売は首都圏を中心に進めることとし,需要が見込めれば各地の農場で生産,関西や中部などにも投入していく計画です。



【お問い合せ先】

 地域共同研究センター主任・教授

  松井 亨景

 電話0824−21−3645


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