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本研究成果のポイント
- 三種類の分子A、B、Cを混ぜるだけで,自発的にA-B-Cに整列した繰り返し構造をもつ高分子(※1)の合成に世界ではじめて成功しました。
概要
広島大学大学院理学研究科の灰野岳晴教授らの研究グループは、これまで非常に困難とされていた三種類の分子の自発的集合によりA-B-Cの連続的繰り返し配列をもつ高分子構造を世界ではじめて合成しました。この手法は、混ぜるだけで高分子構造ができるという点で画期的であり、一般の高分子の合成法のように化学反応を用いた重合(※2)を必要としません。
さらに、三種類の分子が、まるで意志があるかのように自発的にそれぞれの相手となる分子を識別することで、分子同士の配列が自然に決定される現象を高分子の合成に利用することに成功しました。
本成果は、国際科学誌 Nature の姉妹誌である「Nature Communications」に公開されました。オープンアクセスのため、論文は自由にご覧になれます。
【用語説明】
(※1)高分子:分子量が大きい分子。一般には分子量が数千以上のものを高分子という。
(※2)重合:1種またはそれ以上の低分子化合物が2個以上化学的に結合して分子量の大きな化合物をつくること。重合して生成した化合物を重合体(ポリマー)という。
分子A、 B、Cが自発的に整列した繰り返し構造をもつ高分子と全く整列していない高分子
論文情報
- 論文タイトル: Sequence-Controlled Supramolecular Terpolymerization Directed by Specific Molecular Recognitions
- 著者: 平尾岳大1,工藤央成1,網本智子2,灰野岳晴1
1. 広島大学大学院理学研究科(化学専攻)
2. 広島大学自然科学研究支援開発センター(低温・機器分析部門) - 掲載雑誌: Nature Communications
- DOI: 10.1038/s41467-017-00683-5
【お問い合わせ先】
広島大学 大学院理学研究科 化学専攻
教授 灰野 岳晴