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本研究成果のポイント
- 非侵襲で乳癌を検出する携帯型の乳癌早期検診装置を通信用の微弱電波とレーダーの原理に基づいて開発し、パイロット臨床試験で、乳癌検出性能と安全性を実証しました。
- 半導体集積回路の開発により小型化・低消費電力化を実現しました。
- X線マンモグラフィの課題である疼痛と放射線被曝がなく、従来の欠点を克服する乳癌検診の新たな画像診断法を確立できます。
概要
広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所の吉川公麿特任教授、広島大学原爆放射線医科学研究所腫瘍外科の岡田守人教授、広島大学病院病理診断科の有廣光司教授、広島大学大学院医歯薬保健学研究科皮膚科学の秀道広教授のグループは、乳癌を検出する携帯型の装置を開発し、広島大学病院においてパイロット臨床試験により乳癌検出性能と安全性を実証しました。
この装置はワイヤレス通信用の微弱電波を用いたレーダーの原理に基づいており、半導体集積回路の開発により、小型化・低消費電力化を実現しました。
この成果により、X線マンモグラフィの課題である疼痛と放射線被曝がなく、従来技術の欠点を克服する乳癌検診の新たな画像診断法を確立できる可能性が開けました。
本成果は国際科学誌Natureの姉妹誌である「Scientific Reports」に2017年11月27日(英国時間)に公開されました。オープンアクセスのため、論文は自由にご覧になれます。
2017年12月1日、本件について、広島大学霞キャンパスにおいて記者説明会を開催しました。
記者会見の様子
(左から)吉川公麿特任教授、笹田伸介助教、有廣光司教授
装置の説明を行う吉川公麿特任教授
図.携帯型の乳癌早期検診装置
(a)底面写真、半球状アンテナ構造. (b)側面写真 (c)分解図
- 十文字型に配列された4x4=16個のアンテナアレイはステップモーターで1度ずつ回転し、乳房の周り360度から腫瘍までの遅延時間を計測します。
- アンテナの位置は半球状ドームに固定されており、腫瘍までの3次元距離が計算できます。
- サイズは191x177x188mm、重量は2kg以下で、片手で持つことができます。
- 高周波モジュールでは時間幅160ピコ秒(1ピコ秒は1兆分の1秒)のインパルスを生成し、アンテナへ送信します。
- 制御モジュールは送受信信号の制御や受信信号のデジタル処理を行います。
論文情報
- 掲載雑誌:Scientific Reports
- 論文題目:Detectability of Breast Tumor by a Hand-held Impulse-Radar Detector: Performance Evaluation and Pilot Clinical Study
- 著者:Hang Song1, Shinsuke Sasada2,3, Takayuki Kadoya2,3, Morihito Okada2,3, Koji Arihiro4, Xia Xiao5 & Takamaro Kikkawa1
1: 広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所
2: 広島大学原爆放射線医科学研究所
3: 広島大学病院乳腺外科、呼吸器外科
4: 広島大学病院病理診断科
5: 天津大学 - doi:10.1038/s41598-017-16617-6
- 報道発表資料(1.73 MB)
- 論文掲載ページ(Scientific Reportsに移動します)
- 広島大学研究者総覧(吉川 公麿 特任教授)
- 広島大学研究者総覧(笹田 伸介 助教)
- 広島大学研究者総覧(岡田 守人 教授)
- 広島大学研究者総覧(有廣 光司 教授)
- 広島大学研究者総覧(秀 道広 教授)
【お問い合わせ先】
広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所
特任教授 吉川 公麿