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【研究成果】RUDY JAPANに新たな難病・稀少疾患の登録を開始 ~ICTを利用したオンライン研究プラットフォームで 患者と研究者が参画して作成した質問票の回答受付を開始~

本研究成果のポイント

  • RUDY JAPANに新たな難病・稀少疾患(※1)、遺伝性血管性浮腫(HAE: Hereditary angioedema)(※2)の患者登録及びHAE発作歴に関する質問票の回答受付を開始した。
  • 患者代表者と研究者の両者が議論を重ね、HAE発作歴に関する質問票を新たに作成した。
  • 難病・稀少疾患の研究への当事者の声が反映される研究の実現が期待される。

【用語説明】
※1 難病・稀少疾患
病気の原因が特定されておらす、治療か方法が確立されていない、慢性の経過をたどる疾患がいまだ存在し、このような疾病を難病(稀少疾患)と呼んでいます。現在、330種類が患者数は人口の0.1%より少ない「指定難病」として厚生労働省に指定されています。

※2 遺伝性血管性浮腫(HAE: Hereditary angioedema)
遺伝性血管性浮腫は、遺伝子の変異が原因で血液の中にあるC1-エラスターゼ・インヒビター(C1-インヒビター)の機能が低下する病気で、体のいたるところに2-3日持続する腫れやむくみ(血管性浮腫)の発作を繰り返します。10歳から20歳代に発症することが多く、特にのどが腫れる場合は呼吸困難に陥り、生命の危険を来す可能性があることが知られています。

概要

大阪大学大学院医学系研究科の加藤和人教授(医の倫理と公共政策学)は、広島大学大学院医歯薬保健学研究科の秀道広教授(皮膚科学)、大阪大学大学院医学系研究科の松村泰志教授(医療情報学)、高橋正紀教授(臨床神経生理学)、同人間科学研究科山本ベバリー・アン教授(遺伝性血管性浮腫患者会HAEJ)、今村幸恵(遺伝性血管性浮腫患者会HAEJ)らと共に、情報通信技術(ICT)を用いた医学研究プラットフォームRUDY JAPAN(ルーディジャパン)に新たな難病・稀少疾患である遺伝性血管性浮腫(HAE)の登録を開始しました。
RUDY JAPANは、稀少性難病の患者の病気や日常生活に関する情報を収集し、研究を進めるためのオンライン研究プラットフォームで、骨格筋チャネル病を対象として2017年12月に公開しました。この度、新たな疾患として、HAEを追加し、患者情報の登録および、患者代表者と研究者の両者が参画して新たに作成したHAE発作歴に関する質問票の回答の受付を、2018年10月30日(火)15時(日本時間)よりウェブサイト上にて開始します。(URL: https://rudy.hosp.med.osaka-u.ac.jp)。今後、RUDY JAPANの利用により、難病・稀少疾患の長期的な研究の実現が期待されます。また、患者の主体的な参加を促進することで当事者の声が反映され、研究の目的や利益が共有される研究の実現が期待されます。

RUDY JAPAN トップページ

図1. RUDY JAPAN トップページ
(https://rudy.hosp.med.osaka-u.ac.jp
登録を希望する患者さんは、“登録される方“より情報を入力することができる。

研究背景

近年、インターネットや、PC・スマートフォンなどのデジタルデバイスの普及により、ICTによる医学研究への当事者としての患者の主体的な参加が、英米を中心に広がりつつあります。一方、これまで難病・稀少疾患の研究は、対象となる患者数が非常に少なく、1つの医療機関や研究機関で研究を進めていくことが難しい状況でした。そのため本研究グループは、日本においてもICTを利用した医学研究を実践する活動を、難病・稀少疾患の患者、複数の疾患領域の専門家、医療情報やICTの専門家など多様な人々と協働して、2014年から行ってきました。
今回対象としているHAEは、体のいたるところに2-3日持続する腫れやむくみ(血管性浮腫)の発作を繰り返す疾患です。10歳から20歳代に発症することが多く、特にのどが腫れる場合は呼吸困難におちいり、生命の危険を来す可能性があることが知られています。しかしHAEは症状が発作的に起こるため、これまでその症状の詳細を医療者や研究者が把握することは困難でした。

本研究の成果

研究グループでは、英国オックスフォード大学Kassim Javaid(カシム・ジャビド)准教授、Harriet Teare(ハリエット・テレ)研究員、Jane Kaye(ジェーン・ケイ)教授らが開発したICTによる患者参加型の医学研究RUDYのソフトウェアを日本に導入し、松村泰志教授、高橋正紀教授らとともに、日本語版であるRUDY JAPANシステムの開発を進めてきました。そして2017年12月4日に、稀少な筋疾患6種類(骨格筋チャネル病である先天性ミオトニー、ナトリウムチャネルミオトニー(カリウム惹起性ミオトニー)、先天性パラミオトニー、高カリウム性周期性四肢麻痺、低カリウム性周期性四肢麻痺、アンデルセン(タウィル)症候群)を対象に患者登録を開始しました(図1)。
そこで今回、RUDY JAPANに新たな難病・稀少疾患としてHAEを追加し、患者登録を開始しました。また、秀道広教授、山本ベバリー・アン教授、今村幸恵らと共に研究者と患者代表者の両者が参画し、半年以上にわたるメールおよび計6回のウェブ会議にて検討を重ねて、新たにHAE発作歴に関する質問票を作成しました。この新たに作成した質問票には、発作の日時、発作の部位と症状の詳細、受けた治療、回復にかかった時間などについての質問を含んでいます(図2)。
RUDY JAPANは、稀少性難病の患者の病気や日常生活に関する情報を収集し、研究を進めるためのオンライン研究プラットフォームであり、現在の機能としては、(1)プロフィール、(2)アンケート、(3)タイムラインがあります。(1)プロフィール機能では、登録した患者さんはプロフィール機能で自分の情報の更新や、データの提供範囲、二次的研究参加といった同意内容の変更を行うことができます。システム内で登録者自身が後日変更することができる、ダイナミックコンセントという仕組みを採用しています。(2)アンケート機能では、自己記入式質問(眠気、日常動作のほか、疾患に合わせたQOLや重症度に関する質問)に回答することができます。(3)タイムライン機能では、回答が完了した質問票の記録を確認することができます。また、RUDY JAPANは、患者・市民とパートナーシップを築きながら進める新しい医学研究を目指しており、患者代表者と研究者の両者が参画してシステムの改善や今後の研究の進め方についての意見交換を行う運営ミーティングを、定期的にウェブ会議として開催しています。

 図2. 遺伝性血管性浮腫(HAE) 発作歴に関する質問票サンプル画面。

図2. 遺伝性血管性浮腫(HAE) 発作歴に関する質問票サンプル画面。
発作が生じた日時、発作が生じた体の部位などを回答することができる。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

本研究成果により、これまで十分に把握されていなかったHAEの発作に関する部位や症状、治療内容やその後の経過などの詳細な調査が可能になると期待されます。また今後、RUDY JAPANに登録された全国の患者の方を対象とする日常生活への影響などの様々な研究を行うことも可能になると考えられます。
このRUDY JAPANプロジェクトは世界で始まりつつある新しい研究の進め方の、日本における数少ない取り組みの1つとなっています。本研究成果でのように、患者・市民と研究者の両方が参画して研究を進めていくことで、医学研究において当事者の声が反映される研究が実現されることが期待されます。

特記事項

このたび新たに作成したHAE発作歴に関する質問票に関し、回答の受付を2018年10月30日(火)15時(日本時間)よりウェブサイト上にて開始します。
【URL】 https://rudy.hosp.med.osaka-u.ac.jp

なお、本研究は、科研費挑戦的研究(萌芽)「患者・市民の主体的参加による新しい医学研究ガバナンスの構築に向けた研究」(平成 29 年度〜)および、大阪大学国際共同研究促進プログラム(平成29年度~)の支援を受けて行われました。

【お問い合わせ先】
広島大学大学院医歯薬保健学研究科
皮膚科学(教授)医学部長 秀 道広 

TEL: 082-257-5235
FAX: 082-257-5239
E-mail: ed1h-w1de-road*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に変換して送信してください)


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