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【研究成果】学生国際交流プログラム担当者の交換留学再開の意思判断のプロセスは機関の種別や医学部の有無により違いが

本研究成果のポイント

  • コロナ禍で停止した大学間の学生国際交流プログラム、例えば交換留学プログラムは、現在までにかなりの程度がコロナ禍以前の状態に戻りつつあります。
  • 本研究は、日本の大学の学生国際交流プログラム担当者が、コロナ禍からの回復期にプログラムの再開に際して、どのような情報を活用し、どのような組織に再開の議論を調整してほしいと考えたかを調査したものです。
  • 議論の調整を期待する組織と情報源は、国公立と私立大学の間に、また、医学部の有無によって異なる傾向が見られました。
  • 国公立大学は国や地域のリーダーに意思判断のイニシアチブを取ってほしいとより強く感じていましたが、私立大学は国際的な組織が再開の議論を醸成することをより強く期待していたようです。
  • また、医学部を有する大学では、大学内の意思判断をする際に感染症対策の専門家にアドバイスを得たと回答した担当者が、医学部を有しない大学に比べて多く見られました。

概要

 本学大学院人間社会科学研究科・教育学習支援センターの櫻井勇介准教授は、日本の大学の学生国際交流プログラム担当者が、コロナ禍からの回復期にプログラムの再開に際して、どのような情報を活用し、どのような組織に再開の議論を調整してほしいと考えたかを調査しました。日本の大学で交換留学プログラムの意思判断に携わる担当者に対して、質問紙調査への回答協力を依頼し、180校の担当者から協力を得ることができました。その結果、交換留学の再開に向けて議論の調整を期待する組織と参考にした情報源には、国公立と私立大学の間に、さらには、医学部の有無によって異なる傾向があることがわかりました。具体的には、国公立大学は、国や地域のリーダーに意思判断のイニシアチブを取ってほしいとより強く感じていましたが、私立大学は国際的な組織が再開の議論を醸成することをより強く期待していたようです。また、医学部を有する大学では、大学内の意思判断をする際に感染症対策の専門家にアドバイスを得たと回答した担当者が、医学部を有しない大学に比べて多く見られました。

 2023年前半期において、コロナ禍は終息に向かいつつあるように見えますが、国際的な大規模感染症の広がりを人類はこれまでに幾度も経験してきました。本研究は、大規模感染症からの回復期に、学生の国際的な学びの機会を速やかに軌道に戻すために、異なる組織がどのように協働することが望ましいか示唆を与えるものです。大学組織の特徴によって、必要とした情報源に違いがあったことは、回復期の交換留学再開の意思判断において、大学の特性により異なる政策的支援が有効であることを示唆するものと思われます。

 本研究は、石倉 佑季子 (大阪大学)、中野 遼子 (東北大学)、鍋島 有希 (桜美林大学)、仙石 祐 (信州大学)、岡田 昭人 (東京外国語大学)、近藤 佐知彦 (大阪大学)の研究者と共同して実施されたものです (研究課題:20KK0052「大学間教育交流のニューノーマル;各種プログラムの再定義」研究代表者:近藤佐知彦)。2023年6月4日に科学誌「Higher Learning Research Communications」にオンライン掲載されました。

交換留学プログラム再開の意思判断には大学の種別や特徴によって異なる傾向が

論文情報

  • 掲載誌等の名前:Higher Learning Research Communications,
  • 論文等タイトル:University Administrators' Visions for the Recovery of International Student Exchange in a Post–COVID-19 World
  • 著者の氏名と所属:櫻井 勇介 (広島大学)、石倉 佑季子 (大阪大学)、中野 遼子 (東北大学)、鍋島 有希 (桜美林大学)、仙石 祐 (信州大学)、岡田 昭人 (東京外国語大学)、近藤 佐知彦 (大阪大学)
  • 出版社:Walden University
  • DOI:10.18870/hlrc.v13i1.1396 / URL:https://scholarworks.waldenu.edu/hlrc/vol13/iss1/4/

本研究は、研究課題「大学間教育交流のニューノーマル;各種プログラムの再定義」(20KK0052 研究代表者:近藤佐知彦)の成果です。https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20KK0052

お問い合わせ先

大学院人間社会科学研究科 教育学プログラム 高等教育学コース
教育学習支援センター
高等教育研究開発センター

准教授 櫻井勇介
sakurai[at]hiroshima-u.ac.jp
(注: [at]は半角@に置き換えてください)


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