平成24(2012)年10 月31 日(水)、「学校体育における武道教育-中学武道必修化に向けて」と題して、教育学研究科・出口 達也 准教授による講演を開催しました。
はじめに、今年度から中学校において武道の必修が義務化されることとなった背景には、我が国固有の伝統と文化に触れることにより「武道のよさ」である
1.人間教育を目指す教育的意義
2.「礼法」の重視
3.「道」を共に学び合う精神
4.国際社会において世界に生きる日本人の文化を学ぶこと
による、幅広い領域の学習や体験をすることを挙げ、柔道家でもあり教育者である立場から「競技柔道」と「教材柔道」について話していきたいと述べられました。
世間では、課外活動での柔道(競技柔道)の指導方法による勝つための柔道が多く、柔道=危険というイメージがありますが、学校体育の柔道(教材柔道)は、「柔道」の創始者である嘉納治五郎先生の柔道理念「精力善用」・「自他共栄」こそが学校教育に必要な要素であると言われました。
「精力善用」:心身の持つすべての力を最大限に生かして、社会のために善い方向に用いる。
「自他共栄」:相手に対し敬い、感謝することで、信頼し合い、助け合う心を育み、自分だけでなく他人と共に栄えある世の中にしよう。
この教材柔道を行えば、生命に関わるような危険はなく、弱い者が強い者を投げたりして体力の差を補いながら相手を思いやること、「礼法」「強さ」「賢さ」 「優しさ」を身に付けること、優しさは強さの裏返しであること等を学ぶことができると「柔ちゃん」にたとえて話されました。
また、共に全日本のコーチを務めた金メダリストの古賀稔彦さんは、柔道は相手を痛めつけるものではなく、いかに相手に痛い思いをさせずに(怪我をさせず に)投げるかが大事であるとおっしゃっていたなど、武道を極めた一流の選手は、相手の事を常に考えているエピソードの披露がありました。
ここに書ききれない、世界を相手に活躍されている出口先生の経験や柔道の精神を聞くことができ、ぜひPTAの皆さんに聞いていただきたいと思いました。
日本の柔道が、世界約200カ国で行われている理由が見えたような講座でした。
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