広島大学大学院医歯薬保健学研究院の秀道広教授(皮膚科学)らの研究グループは、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる汗アレルギーの原因物質が、健康な人の皮膚にも常在しているカビの一種が作り出す蛋白質であることを初めて特定しました。アトピー性皮膚炎はかゆみのある湿疹を伴うのが特徴で、約80%の患者さんは汗に対するアレルギーがあり、汗で症状が悪化することが知られています。
研究グループは、精製した汗の成分の中からアレルギー反応によるヒスタミンの放出を目印に原因とみられる物質を絞り込んだ結果、人の皮膚に常在するマラセチア属真菌の一種であるM. globosaが産生する蛋白質と共通のアミノ酸配列を持つことを突き止めました。さらに、遺伝子組み替えで完全な形の蛋白質を作製して患者さんの血液に加えると、汗と同様のアレルギー反応が起きることも確かめました。
アトピー性皮膚炎の新しい治療やスキンケアにつながると期待されます。
本研究成果Fungal protein MGL_1304 in sweat is an allergen for atopic dermatitis patients. は2013年5月31日(日本時間6月1日)、Journal of Allergy and Clinical Immunology電子版に掲載されました。
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