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[研究成果]骨粗鬆症抑制因子のオステオプロテゲリンが腹部大動脈瘤の拡大を抑制することを発見 ~大動脈瘤の治療へ新しい可能性~



広島大学大学院医歯薬保健学研究院の吉栖正生教授らは、骨粗鬆症抑制因子のオステオプロテゲリンが腹部大動脈瘤の拡大を抑制することを発見し、平成28年1月20日、広島大学霞キャンパスにおいて記者説明会を行いました。



説明を行う吉栖教授(中央)

【主な研究成果のポイント】

1. 骨粗鬆症の抑制因子として知られるオステオプロテゲリンを欠損したマウスでは、通常のマウスのものと比較して実験的に作成された腹部大動脈瘤の拡大が著しいことを発見した。

2. 大動脈瘤の拡大・破裂を内科的に予防する新規治療法の開発に繋がることが期待される。



【概要】

広島大学大学院医歯薬保健学研究院のBatmunkh Bumdelger(バトムンフ ブムデルゲル)助教、小久保博樹講師、並びに吉栖正生教授らの研究グループは、骨粗鬆症の抑制因子として知られるオステオプロテゲリンが、腹部大動脈瘤の実験モデルで腹部大動脈瘤の拡大を抑制していることを発見しました。





オステオプロテゲリン(OPG)は「オステオ(osteo-骨を表す接頭辞)」と「プロテゲ(protege 保護)」という言葉が組み合わされた「骨の保護因子」という意味を持つ骨粗鬆症の抑制因子です。研究室(心臓血管生理医学)では、OPGが血管においても重要な役割を果たしているという仮説のもとに研究を進め、OPGが血管の石灰化を抑制することを報告していました。(ATVB誌 2007, 27: 2058-2064)このたび研究グループは、OPGを欠損したマウスを使って実験的に作成された腹部大動脈瘤が、通常のマウスのものと比較して拡大が著しいことを発見しました。また、すでに知られている骨粗鬆症抑制のメカニズム(ランクルを介する)とは異なったメカニズム(トレイルを介する)によって大動脈瘤の拡大を抑制することを明らかにしました。

近年、突然死の原因となる大動脈疾患が増加し大きな問題となっています。今回動物実験によりOPGによる抑制が確かめられたことは、大動脈疾患の分子メカニズムの解明に重要な情報となり、その進展を抑止する方法の開発に繋がることが期待されます。



【論文情報】

雑誌名:PLOS ONE

論文名:

Osteoprotegerin prevents development of abdominal aortic aneurysms.

著者名:Batmunkh Bumdelger, Hiroki Kokubo, Ryo Kamata, Masayuki Fujii,Koichi Yoshimura, Hiroki Aoki, Yuichi Orita, Takafumi Ishida, Megu Ohtaki,Masataka Nagao, Mari Ishida, and Masao Yoshizumi

【お問い合わせ先】

広島大学大学院医歯薬保健学研究院 基礎生命科学部門 医学分野 心臓血管生理医学

教授 吉栖 正生(よしずみ まさお)

TEL:082-257-5122

E-mail: yoshizum-tky*umin.ac.jp(注:*は半角@に置き換えてください)

※可能な限りメールでお問い合わせください。



広島大学学術・社会産学連携室広報グループ

TEL:082-424-3701

E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp(注:*は半角@に置き換えてください)


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