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【研究成果】外来DNAの混入を防ぎ、信頼性の高いDNA解析を可能にする卓上型クリーンルームを開発



JST 戦略的創造研究推進事業において、広島大学の高橋 宏和 研究員および岡村 好子 准教授らは、外来DNAの混入を防止し、信頼性の高い極微量DNA解析を可能にする卓上型クリーンルームを開発しました。

従来、DNA増幅を行う場合には、外来DNAの混入(コンタミネーション)を防止するために、主に無菌操作用のクリーンベンチが使用されていました。しかしながら、外来DNAの混入を完全に防ぐことは難しく、1細胞レベルの極微量のDNA、特に全ゲノムを増幅する場合には大きな問題となっていました。

本研究グループは、従来の実験環境において、注意深く全ゲノム増幅の操作を行った場合でも生じてしまうコンタミネーションの主原因が、実験環境中の浮遊微粒子(主成分は直径0.1μm)であること、また実験器具に発生する静電気が外来DNAを含む浮遊微粒子を集めてしまうことを、明らかにしました。

さらに、主に半導体などの研究用に用いられる、国際標準規格ISO-1の清浄度(全微粒子数が10個/m以下)の空間を形成する既存のクリーンシステムをベースに、外来DNAの混入をほぼ完全に防止してDNA増幅を行うことができる新しい卓上型クリーンルームを開発しました。

開発した卓上型クリーンルームは、培養できない微生物からの有用遺伝子探索など、さまざまな基礎研究分野での遺伝子解析のみならず、ガン研究などにも貢献することが期待されます。

本研究は、農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)の小堀 俊郎 研究員らとの共同で、興研株式会社と関東化学株式会社の協力を得て行いました。本研究成果は、2016年7月12日(米国東部時間)に米国科学誌「BioTechniques」のオンライン速報版で公開されます。

【本研究成果のポイント】
・すべてのDNA解析方法において、外来DNAの混入は重大で防ぎづらい問題でした。
・空気中を浮遊する微粒子が主な汚染源であり、実験器具の静電気も重大な要因であることを明らかにしました。
・DNAの混入をほぼ完全に防止できる、DNA増幅用の卓上型クリーンルームを開発しました。

【お問い合わせ先】
広島大学 大学院先端物質科学研究科 准教授 岡村 好子
Tel:082-424-4583
E-mail:okamuray*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えて送信してください)


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