• ホームHome
  • 【研究成果】酵母のアミノ酸代謝による長寿メカニズムを発見~食餌制限なしでも寿命が延びる方法~

【研究成果】酵母のアミノ酸代謝による長寿メカニズムを発見~食餌制限なしでも寿命が延びる方法~



広島大学大学院先端物質科学研究科および広島大学健康長寿拠点の水沼正樹准教授は、酒類総合研究所の金井宗良主任研究員、慶應義塾大学の曽我朋義教授らとの共同研究で、代謝が関わる新しい寿命延長メカニズムを酵母を用いて発見しました。

具体的には、長寿に関与する遺伝子(SSG1)を発見し、その遺伝子はアミノ酸の一種であるメチオニンの代謝を変化させていました。すなわち、メチオニンの代謝産物(S-アデノシルメチオニン(SAM)を合成する酵素を活性化すると、これまで知られている長寿遺伝子(AMP依存性たんぱく質リン酸化酵素(AMPK)のスイッチがオンとなり寿命が延長しました。

また、別のメチオニンの代謝産物であるS-アデノシルホモシステイン(SAH)を添加するだけでSAM合成が活性化され長寿となりました。この寿命延長はカロリー制限などの食餌制限を模倣することがわかりました。さらに、酵母にとって過酷な環境ではその遺伝子の機能がオンになり、一方、好条件下ではオフになることがわかりました。

老化を抑制・遅延させることは老化に伴って発症する疾患の予防につながります。代謝酵素や代謝産物はヒトなどの高等生物にも高く保存されていることから、本成果は“健康寿命”の延長に貢献するかもしれません。これらの成果は、食品製造や清酒醸造で古くから利用されている酵母を使って発見したものです。

本研究成果は、日本時間の10月4日に、米国科学アカデミー紀要(PNAS)オンライン版に掲載されました。

     
     

平成28年10月3日に、広島大学東広島キャンパスで本研究成果に関する記者説明会を開催しました。


水沼准教授(左)と金井主任研究員(右)

 

【本研究成果のポイント】

  • 長寿に関与する遺伝子(SSG1)を発見しました。
  • アミノ酸の代謝酵素を活性化させると、最大寿命が通常の酵母よりも1.6倍延長しました。
  • 代謝産物による老化遅延は“健康寿命”の延長に貢献することが期待されます。

 

 

 

【研究に関するお問い合わせ先】
広島大学大学院先端物質科学研究科 准教授 水沼 正樹(みずぬま まさき)
Tel:082-424-7765 
E-mail:mmizu49120*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えて送信してください)


up