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【研究成果】摂食行動やエネルギー代謝調節に関与する新しい脳内因子をマウスで発見 -食欲調節に関わる脳内基盤の解明に貢献-

本研究成果のポイント

  • 哺乳類のモデル動物であるマウスの脳から、食欲調節やエネルギー代謝調節に関わる脳内因子(Neurosecretory protein GLと命名、略名NPGL)を世界で初めて発見しました。
  • NPGLの発見は、食欲やエネルギー代謝の複雑な調節メカニズムの解明に繋がることが期待されます。
  • 今後、我々ヒトの過食や拒食などの摂食調節メカニズムの解明や肥満対策の創薬への応用が期待できます。

概要

広島大学大学院総合科学研究科の浮穴和義教授の研究グループは、カリフォルニア大学バークレー校(米)との共同研究によって、哺乳類で未だ見出されていなかった新しい脳内因子をコードする遺伝子を発見しました。その脳内因子は80アミノ酸残基からなる小タンパク質であり、他の既知因子とは全く構造が異なる新しい伝達物質です。同研究グループはその脳内因子をNeurosecretory protein GL(略名NPGL)と命名し、マウスを用いて機能解析を行いました。その結果、NPGLは、弓状核という摂食行動に関わる既知因子が多く存在している脳部位で作られていることを明らかにしました。また空腹や肥満状態のマウスを用い、食欲の変化によってNPGLの発現が変動することを明らかにしました。最後に、NPGLが摂食行動に関与しているかを調べたところ、摂食行動を促進することが分かりました。我々ヒトと同じ哺乳類のマウスから新しい摂食行動を調節する脳内因子が発見されたことから、今後、食欲や肥満などのエネルギー代謝調節メカニズムの解明に繋がることが期待されます。本研究成果は、米国の内分泌学会誌「Endocrinology」5月1日号に掲載されます。なお、受理原稿は、3月17日にオンライン掲載されています。

マウスの脳内にNPGLを投与すると投与後2時間から10時間までの累積摂食量が増加しました

マウスの脳内にNPGLを投与すると投与後2時間から10時間までの累積摂食量が増加しました

論文情報

  • 掲載雑誌
    Endocrinology
  • タイトル
    Neurosecretory protein GL, a hypothalamic small secretory protein, participates in energy homeostasis in male mice
  • 著者
    Daichi Matsuura*, Kenshiro Shikano*, Takaya Saito*, Eiko Iwakoshi-Ukena, Megumi Furumitsu, Yuta Ochi, Manami Sato, George E. Bentley, Lance J. Kriegsfeld, and Kazuyoshi Ukena(責任著者)*同一貢献度
  • DOI番号
    10.1210/en.2017-00064.
お問い合わせ先

大学院総合科学研究科 教授 浮穴 和義

E-mail:ukena*hiroshima-u.ac.jp (*は半角@に置き換えてください)


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