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【研究成果】導電性高分子の配向膜を簡単に作製する世界初の手法を開発! 曲がるタブレットや体に貼る端末への応用も

本研究成果のポイント

  • 基板(例えばガラス板)を布や紙でブラッシングし、電気を流すプラスチック分子(導電性高分子)の溶液を滴下・乾燥すると、導電性高分子が並んだ膜(配向膜)が完成しました。
  • 極薄(厚さ30 nm)の配向膜は基板からはがせ、好きな場所で利用できます。
  • 配向膜に電気を流すと発光しました。しかも発光は偏光を示しました。

概要

広島大学自然科学研究支援開発センターの齋藤健一教授、加治屋大介助教、理学研究科・大学院生の今西正義氏、高輝度光科学研究センターの小金澤智之主幹研究員の研究グループは、導電性高分子の配向膜を簡単に作製する世界初の手法を開発しました。この手法は極めて簡単であり、特に熱に弱い物質での配向膜作製に大変適しています。更に、環境にやさしくコスト削減にもつながる手法です。なお、大型放射光施設SPring-8(※1)のBL19B2においてX線回折測定を行うことにより、通常の実験室では困難である極薄の膜について、構造解析が可能となりました。

本成果は、2017年7月11日に国際科学誌Natureの姉妹誌である「Scientific Reports」に公開されました。オープンアクセスのため、論文はご自由にご覧になれます。

(※1)SPring-8: 兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出す理化学研究所の施設で、高輝度光科学研究センターが運転と利用者支援等を行っています。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8 GeV(ギガ電子ボルト)に由来。電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、電磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波(放射光)を用いて幅広い研究が行われています。

基板を綿の布でブラッシング,導電性高分子の溶液を滴下・乾燥,厚さ30 nmの導電性分子の配向膜が完成。この手法は,柔らかい布で常温での摩擦転写法に相当します。従って、本研究において、ソフト摩擦転写法と命名されました(従来の摩擦転写法は、硬いテフロンの棒を120-200 ℃ほどに加熱した基板に擦りつけます)。

齋藤健一教授からのコメント

本研究は、共著者はもとより、着想のきっかけとなった学生時代の研究室、その恩師、学会や論文の査読者によるコメントなど、多くの方のお陰で得られた成果です。今後は、更に良い研究へつなげ、折角なので将来の実用化も考え、頑張りたいと思っています。

齋藤健一教授

論文情報

  • 掲載雑誌:Scientific Reports
  • 論文題目:Uniaxial orientation of P3HT film prepared by soft friction transfer method.
  • 著者と所属:
    Masayoshi Imanishi1, Daisuke Kajiya2, Tomoyuki Koganezawa3, and Ken-ichi Saitow1, 2
    1. 広島大学大学院理学研究科(化学専攻)
    2. 広島大学自然科学研究支援開発センター(低温・機器分析部門)
    3. 公益財団法人 高輝度光科学研究センター
  • DOI番号:10.1038/s41598-017-05396-9
【お問い合わせ先】

<研究に関すること>
広島大学自然科学研究支援開発センター 低温・機器分析部門
広島大学大学院理学研究科 化学専攻(併任) 
教授 齋藤 健一
Tel:082-424-7487 FAX:082-424-7486
E-mail:saitow*hiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えて送信してください)

<報道に関すること>
広島大学広報グループ
Tel:082-424-6762 Fax : 082-424-6040
E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えて送信してください)

<SPring -8/SACLAに関すること>
高輝度光科学研究センター 利用推進部 普及情報課
TEL:0791 -58 -2785 FAX :0791 -58 -2786
E-mail :kouhou*spring8.or.jp (*は半角@に置き換えて送信してください)


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