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広島大学平和科学研究センターは3月10日、広島平和記念資料館と共催で公開市民講座「原爆被害とは何か、ヒロシマは何を継承するのか」を、同資料館東館で開催しました。
平和科学研究センターの川野徳幸センター長は、被爆から70年を過ぎてもなお、被爆者の4人に3人が被爆時のことを思い出すとともに、2人に1人が子や孫の健康に不安を感じているとの調査結果を報告しました。
東京薬科大学生命科学部の原田浩徳教授は、近年、被爆者の間で増加している血液疾患の骨髄異形成症候群(MDS)の発症メカニズムに関する最近の知見を紹介。「被爆後50年以上を経て発症するMDSは、2km以遠や入市被爆者にも認められている」と指摘しました。
一方、平和記念資料館の志賀賢治館長は、単に見るだけでなく、さまざまな議論が巻き起こる「フォーラムとしてのミュージアム」を目指すとし、「大学など学術機関の支援と海外博物館との連携」の必要性を強調しました。
また、日本学術振興会のファンデル・ドゥース・ルリ特別研究員は社会心理言語学の立場から、資料館を訪れた海外観光客が感想などを投稿する旅行口コミサイトに着目し、当事者性を持った新たな継承につながる可能性を述べました。
会場では市民ら約150人が熱心に聴き入っていました。平和科学研究センターは今後も公開講座を実施し、研究成果を市民と共有します。
左から、日本学術振興会のファンデル・ドゥース・ルリ特別研究員、
平和記念資料館の志賀賢治館長、東京薬科大学生命科学部の原田浩徳教授、
平和科学研究センターの川野徳幸センター長
会場の様子
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