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本研究成果のポイント
- II型ムコ多糖症はIduronate 2-sulfatase (IDS)酵素の遺伝子変異によって発症する希少難病です。原因となる変異IDSがコードするタンパク質は、小胞体関連分解と呼ばれる異常なタンパク質を処理する機構で分解されることを解明しました。
- 小胞体関連分解による変異型IDSタンパク質の分解を抑制すると、酵素としての働きが改善することを見出しました。
- 今回の結果は、根治が難しく対症療法のみが治療の選択肢であるII型ムコ多糖症の根本的治療法確立に繋がることが期待されます。
概要
広島大学大学院医歯薬保健学研究科ストレス分子動態学 齋藤 敦 准教授、同分子細胞情報学 今泉 和則 教授、広島大学病院腎臓内科 正木 崇生 教授、岐阜大学大学院医学系研究科 深尾 敏幸 教授、米国Nemours/Alfred I. DuPont Hospital for Children 戸松 俊治 教授らの研究グループは、難治性疾患の一つであるII型ムコ多糖症の発症原因となる変異型IDS酵素の分解システムと、変異型IDS酵素の新しい機能回復法を見出しました。この発見は、これまで治療の選択肢が対症療法のみで、根治が難しかったII型ムコ多糖症の新しい治療戦略開発に発展することが期待されます。
本研究成果は「Cell Death & Disease」オンライン版に掲載されました。
小胞体関連分解の働きを抑えると、変異型IDSはリソソームに到達してグリコサミノグリカンを分解する。その結果、グリコサミノグリカンの蓄積が解消される。
論文情報
- 掲載誌: Cell Death & Disease
- 論文タイトル: Shutdown of ER-associated degradation pathway rescues functions of mutant iduronate 2-sulfatase linked to mucopolysaccharidosis type II
- 著者: Yosuke Osaki, Atsushi Saito*, Soshi Kanemoto, Masayuki Kaneko, Koji Matsuhisa, Rie Asada, Takao Masaki, Kenji Orii, Toshiyuki Fukao, Shunji Tomatsu, Kazunori Imaizumi*
*: Corresponding Authors - DOI番号: 10.1038/s41419-018-0871-8
- 報道発表資料(400.11 KB)
- 論文掲載ページ(Cell Death & Diseaseに移動します)
- 広島大学研究者総覧 (齋藤 敦 准教授)
- 広島大学研究者総覧 (今泉 和則 教授)
- 広島大学研究者総覧 (正木 崇生 教授)
【お問い合わせ先】
広島大学大学院医歯薬保健学研究科
准教授 齋藤 敦