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【研究成果】ゲノム編集を応用し、遺伝子を高度に活性化する新技術(TREEシステム)を開発 ~がん抑制遺伝子の活性化によるがんの増殖阻害への応用に期待~

本研究成果のポイント

  • ゲノム編集に汎用されるCRISPR-Cas9を改変し、DNA配列を書き換えることなく遺伝子のはたらきをONにする新技術(TREEシステム)を開発しました。
  • TREEシステムを用いることで、さまざまな細胞での遺伝子活性化を従来技術よりも高度に誘導できることを証明しました。
  • 膵臓がん細胞において、がん抑制遺伝子の産物であるE-カドヘリンタンパク質の発現レベルを約30倍に高めることに成功しました。

概要

広島大学大学院理学研究科 佐久間 哲史 講師および 山本 卓 教授らは、国立がん研究センター研究所エピゲノム解析分野 牛島 俊和 分野長および川崎医科大学総合外科学講座 深澤 拓也 准教授らと共同で、ゲノム編集※1を応用した遺伝子の活性化技術(TREEシステム)を開発しました。ゲノム編集ツールの一つであるCRISPR-Cas9※2を改変して構築された本システムでは、目的とする遺伝子の周辺に活性化タンパク質を高度に集積させることができ、従来技術よりも高い活性化効果を得ることができます。遺伝子を活性化する技術は、DNA配列を書き換えることなく遺伝子のはたらきをONにできることから、安全性の高いがん治療などに役立てられることが期待されます。

本研究成果は、米国Mary Ann Liebert社の科学雑誌『The CRISPR Journal』に掲載されました。

なお本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)革新的がん医療実用化研究事業「癌関連遺伝子の発現を多重制御するエピゲノム編集ベクターの開発と応用」(研究代表者:佐久間哲史)等による支援を受けて行われました。

用語解説

※1 ゲノム編集
標的とするゲノムDNA領域に対してDNA二本鎖切断を誘導し、その修復過程において、標的領域への欠失や挿入変異を導入したり、ドナーベクターのゲノムDNAへの組み込みを促進することで遺伝子を挿入したりする最先端の遺伝子改変技術。本研究ではこれを応用し、ゲノムDNAを切断しないよう改変を加えたシステムを利用している。

※2 CRISPR-Cas9
Clustered regularly interspaced short palindromic repeats- CRISPR associated protein 9の略で、ゲノム編集を可能にする人工DNA切断酵素の一つ。本来、Cas9と呼ばれるタンパク質がsgRNA(Single-guide RNA)と複合体を形成し、標的DNA配列を認識して切断するが、本研究ではCas9に変異を加えることで、DNAの認識活性を残しつつ切断活性を不活化させている。

既存の遺伝子活性化システム(第一世代・第二世代)とTREEシステムの模式図

既存の遺伝子活性化システム(第一世代・第二世代)とTREEシステムの模式図

論文情報

  • 掲載雑誌: The CRISPR Journal
  • 論文題目: “Three-Component Repurposed Technology for Enhanced Expression (TREE): Highly Accumulable Transcriptional Activators via Branched Tag Arrays”
  • 著者: Atsushi Kunii1, Yoshihiro Hara2, Mitsumasa Takenaga1, Naoko Hattori3, Takuya Fukazawa4, Toshikazu Ushijima3, Takashi Yamamoto1* & Tetsushi Sakuma1*
    1) 広島大学大学院理学研究科
    2) 元広島大学大学院理学研究科
    3) 国立がん研究センター研究所
    4) 川崎医科大学
    *: 責任著者
  • DOI: 10.1089/crispr.2018.0009
【お問い合わせ先】

広島大学大学院 理学研究科 数理分子生命理学専攻

教授 山本 卓

TEL: 082-424-7446

E-mail: tybig*hiroshima-u.ac.jp (*を半角@に変換してください)

講師 佐久間 哲史

TEL: 082-424-6292

E-mail: tetsushi-sakuma*hiroshima-u.ac.jp (*を半角@に変換してください)


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