• ホームHome
  • 【研究成果】春~夏の餌不足でイカナゴの成熟率や産卵量が顕著に減少することを解明 - 瀬戸内海のイカナゴ減少のメカニズム理解に期待-

【研究成果】春~夏の餌不足でイカナゴの成熟率や産卵量が顕著に減少することを解明 - 瀬戸内海のイカナゴ減少のメカニズム理解に期待-

本研究成果のポイント

  • 冬に生まれたイカナゴは春~夏に成長しながら栄養を蓄積し、夏~冬の休眠(夏眠)後に産卵します。近年は瀬戸内海の漁獲量が著しく減少していますが、その原因は明らかになっていません。
  • 春~夏に餌不足を経験すると、夏眠前までの成長が低下するだけでなく、親として産卵に加わる割合が低くなることや、親になっても産卵量が顕著に少なくなることを明らかにしました。
  • 本研究成果は、瀬戸内海のイカナゴの減少要因の解明に加え、資源の回復や新しい資源管理方策の発案につながることが期待されます。

概要

広島大学大学院生物圏科学研究科の冨山毅准教授、水産研究・教育機構瀬戸内海区水産研究所の米田道夫主任研究員らの研究グループは、イカナゴの再生産力が半年以上前の餌料条件によって直接的に影響を受けることを実験的に証明しました。

イカナゴは瀬戸内海東部において春に釘煮(くぎに)として親しまれている魚ですが、近年の漁獲量は極めて低水準となっており、資源の急激な減少が危惧されています。この減少の要因はわかっていません。一般に、魚類の産卵量は、親の量に比例して増加することが知られており、この考え方が資源管理に用いられてきました(例えば、漁業では親となる魚を一定量残すことで、産卵量を確保できるという考え)。しかし、本研究から、稚魚が成長していく過程で、どのような餌料条件を経験するかによって、産卵期である冬季の成熟率や産卵量が大きく変動することが明らかになりました。今回の結果は、イカナゴの資源変動機構を理解する重要な成果となるとともに、イカナゴの産卵量を確保するための資源管理方策を新たに検討していくことに貢献することが期待されます。

本研究の成果は、米国科学誌PLOS ONEに掲載されました。

夏眠時点でのイカナゴの体サイズ

図. 夏眠時点でのイカナゴの体サイズ
飽食量の実験区では平均98mm、25%量では平均77mmでした。

論文情報

  • 掲載雑誌: PLOS ONE
  • 論文題目: Food availability before aestivation governs growth and winter reproductive potential in the capital breeding fish, Ammodytes japonicus
  • 著者: 葛原裕恒1, 米田道夫2, 津崎龍雄2, 高橋正知3, 河野悌昌3, 冨山毅1*
    1. 広島大学大学院生物圏科学研究科
    2. 国立研究開発法人水産研究・教育機構瀬戸内海区水産研究所伯方島庁舎
    3. 国立研究開発法人水産研究・教育機構瀬戸内海区水産研究所
    * 責任著者
  • DOI番号: 10.1371/journal.pone.0213611
【お問い合わせ先】

<研究に関すること>
広島大学大学院生物圏研究科
准教授 冨山 毅
TEL:082-424-7941
FAX:082-424-7906
E-mail:tomiyama*hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)

瀬戸内海区水産研究所伯方島庁舎
米田 道夫
TEL:0897-72-0204
FAX:0897-72-2544
E-mail:myoneda*fra.affrc.go.jp (注: *は半角@に置き換えてください)

<広報に関すること>
広島大学広報グループ
TEL:082-424-4657
FAX:082-424-6040
E-mail: koho*office.hiroshima-u.ac.jp (注: *は半角@に置き換えてください)

水産研究・教育機構
瀬戸内海区水産研究所 業務推進部
TEL:0829-55-0666
FAX:0829-54-1216
E-mail: www-feis*fra.affrc.go.jp (注: *は半角@に置き換えてください)


up