<研究内容に関して>
脳・こころ・感性科学研究センター
精神神経医科学
特任教授 山脇 成人
TEL: 082-257-1724
E-mail:yamawaki*hiroshima-u.ac.jp (注:*は半角@に置き換えてください)
<報道関係に関して>
広島大学広報グループ
TEL: 082-424-3701
E-mail: koho*office.hiroshima-u.ac.jp (注:*は半角@に置き換えてください)
広島大学脳・こころ・感性科学研究センター・山脇成人特任教授、町澤まろ特任准教授の研究グループは、感性の可視化をテーマとして、快・活性・期待という3つの心理主観軸から「ワクワク感」をモデル化し、ヒトがイメージし、予期・評価している時の脳波情報を用いて、「ワクワク感」を定量評価する感性多軸モデルを世界で初めて報告しました。
産業界においては、商品開発にはこれまで経験値の高いヒトによる経験に基づく商品開発法が主で、また制作された商品の評価においても、モニターによる主観評価に頼らざるをえず、どうしてもたまにバイアスのかかってしまいがちな主観評価に頼った開発がなさせてきています。一方で、バイアスのかかっていない状態の脳情報を直接測定し、そのヒトの興味度(ワクワク感)の定量評価可能な技術の開発が喫緊の課題となっています。
ヒトの脳活動を可視化(見える化)して、それを可視化するニューロフィードバック技術が近年注目されています。ニューロフィードバックとは、脳波やMRIなどを用いて脳活動をリアルタイムに可視化し、言葉やそのヒトの反応を待たなくても脳情報からそのヒトの感情や認知状態を可視化する方法です。
広島大学の研究グループは、センターオブイノベーション(COI)事業において、これまで脳波を用いた感性の可視化技術開発を継続してきました。
本研究では、「ワクワク感」という感情と認知状態が複合された感性状態を快・活性・期待という3つの心理軸因子を用いて統合的にモデル化し、さらに各因子(軸)に対応した脳情報を脳波からの独立成分周波数パワー(スペクトラム)の変容と紐付けることで、ワクワク感のモデルを構築しました。また、リアルタイムでの可視化モデルを構築し、それにより、脳波を用いてヒトが事前情報から感じている「ワクワク感」をリアルタイムで視覚的に提示可能なモデルを提唱しました。
視覚情報(イメージ)に限局した実験結果例ではありますが、本研究は感情・認知状態が複合した多要素が織りなす感性をモデル化し、さらに脳波というウェアラブルな技術を用いることで購買活動やヒトの生きる活力に直結すると思われる「ワクワク感」のリアルタイム可視化を可能にするモデルを世界で初めて明らかにした研究です。
現在、本研究で得られている視覚に限局したモデルを、実験数を増やしてより汎化する研究を開始しており、また、多様な個性に対応可能にする為にそのヒトに最適化されたモデルの開発に着手しており、社会実装場面で広く実用化されることを目指しつつ、企業との産学連携を通じて開発を進めています。本研究成果は、心理学モデルの応用を最先端脳科学の手法を用いて実用化することで、今後の自動車産業などものづくり、サービス産業界などで課題である定量評価システムの構築に貢献する革新的イノベーション技術として期待されます。
この研究成果は、国際誌「Journal of Neural Engineering」に掲載されました。
文部科学省革新的イノベーション創出プログラム(COI)「精神的価値が成長する感性イノベーション拠点」(JPMJCE1311)
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掲載日 : 2020年05月18日
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