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広島大学における新型コロナウイルスに対する研究状況について~AMEDウイルス等感染症対策技術開発事業へ採択されました~

 広島大学は、100年に一度ともいわれるコロナ禍に対して、様々な研究をもって対応しようとしています。
 今回、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)令和2年度「ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援)」の公募に対し、総応募件数113件の中から広島大学の以下の課題が採択されました。
 ● 実証研究支援:田原 栄俊 教授
 ● 改良研究支援:志馬 伸朗 教授
 ● 有効性確認研究支援:大毛 宏喜 教授
 (実証、改良、有効性確認研究支援※の全ての分野で採択されたのは全国で広島大学のみ)

1.コロナウイルスを迅速・高精度に診断する自動機器に関する研究開発

(研究開発代表者:大学院医系科学研究科・細胞分子生物学 田原 栄俊 教授)

【研究開発内容】
 新型コロナウイルス感染症に対する医療従事者の感染リスク回避や検査精度の管理、あるいは、得られた結果からの市中感染状況の推測といった課題がある。
 本研究では、検体採取後の安全キャビネット内での検体の前処理の自動化、RNA精製、PCR検査等の過程を自動化するシステムを構築し、これらの過程での検査精度管理システムを構築する。これにより、現在、全国的に課題となっている検体前処理過程、PCR検査の迅速化を図り、今後の多検体対応を可能とする。
 また、最新の次世代シークエンス法を用いて偽陽性を排除、感染経路特定する方法を開発する。さらに、新型コロナウイルス感染症の市中感染状況の把握と再陽性例への対応を進めるため、感染者の血液中の抗体価を経時的に調査し、検査結果を高精度で評価できるシステムを構築する。
これらのシステムで蓄積されたノウハウは、行政・民間検査所に導出することを想定している。

※ 本研究は、AMED「ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援)」の「ウイルス等感染症対策に資する医療機器・システム等の実証研究支援」に採択されたもので、令和2年度に実施します。また、広島大学自立型研究拠点、創薬・バイオマーカー拠点も寄与しています。広島大学大学院医系科学研究科・細胞分子生物学研究室 HPはこちら
 

2.呼吸音遠隔モニタシステムに関する研究開発

(研究開発代表者:大学院医系科学研究科・救急集中治療医学 志馬 伸朗 教授)

【研究開発内容】
 これまでのパイオニア株式会社との共同研究を通じて、電子聴診器を用いた呼吸音を可視化できる解析システムの技術を開発してきた。本研究では、それらの技術を基に、新型コロナウイルス感染症を想定した模擬環境において研究開発を進め、最終的には、医療従事者が患者に接触することなく呼吸リズムや呼吸音を評価し、重症化の兆候を捉えるシステムを開発し、製品化を目指す。
 これにより、医療従事者への感染リスクを抑制しつつ、重症患者や経過観察中の軽症患者において、呼吸状態を定期的に観察し、急激な悪化時に迅速かつ的確な処置・介入判断を行うための評価手段としての利用が期待できる。

※ 本研究は、AMED「ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援)」の「ウイルス等感染症対策に資する医療機器・システム等の改良研究支援」に採択されたもので、パイオニア株式会社と共に令和2年度に実施します。
 

3.新型コロナウイルス感染症に対する222nm紫外線を用いた感染対策に関する研究開発

(研究開発代表者:広島大学病院・感染症科 大毛 宏喜 教授)

【研究開発内容】
 新型コロナウイルスは、主に飛沫感染により伝播するが、環境中でも数日生存できることが報告されており、接触感染対策も重要である。また、紫外線は非接触で環境のウイルスを不活化できるため注目されている。
 本研究では、254nm紫外線と比較して人体に安全とされる222nm紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社が開発)を用いて、新型コロナウイルス感染症患者が使用した病室やホテルなど環境中の新型コロナウイルス不活化効果を検証し、研究成果を元に製品化を目指す。さらに既存の環境清掃に222nm紫外線照射を加える環境感染対策を確立することを目的とする。
 これにより、医療機関だけでなく、一般施設でも利用可能な222nm紫外線を用いた新型コロナウイルス感染症に対する環境感染対策の確立が期待できる。

※ 本研究は、AMED・「ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究支援)」の「既に開発・上市されている機器等(空気清浄機、UV殺菌装置、素材等)によるウイルス等感染症対策への有効性の確認を行う研究支援」に採択されたもので、ウシオ電機株式会社、学校法人国際医療福祉大学と共に令和2年度に実施します。
 

 これらプロジェクトは、迅速に上市できる機器等の研究開発であり、広島大学の新型コロナウイルス戦略の一つとして、既に実施しているAMED・次世代医療機器連携拠点整備等事業における機器開発のための環境基盤整備と共に推進していきます。これらより、新型コロナウイルスに対する新しい生活様式や対処法を提供することで、社会貢献に取り組んでまいります。

【参考資料】
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の公募に関する採択結果について

広島大学における新型コロナウイルス対策に係る研究成果について

パイオニア株式会社について:
 パイオニア株式会社は、主力のカーエレクトロニクス事業のほか、独自の光・音・映像技術を用いた医療・健康機器関連事業を展開しています。これまで、光技術の応用としてレーザ光による皮膚血流の計測技術を活用した医療用・研究用の小型レーザ血流計や、音技術の応用である生体音の収集技術を活用した電子聴診器の製品化を実現しています。今後も、医療・健康機器の分野における研究開発を推進し、医療への貢献を目指してまいります。パイオニアの医療・健康機器関連事業について詳細はこちら

ウシオ電機株式会社について:
 1964年の創業以来、「光」のイノベーションカンパニーとして、紫外線、可視光、赤外線および、その周辺波長領域を含めた光の機能や用途を解明し、カタチにすることで、独自の技術や製品、サービスを提供してきました。また、世界中の人々にとって「安心・安全」な環境を光技術で実現することを使命のひとつと位置付け、222nmの紫外線照射によりウイルスや細菌を不活化・殺菌する装置等を開発し、ウイルスや細菌への感染リスク低減、パンデミック防止に貢献できるよう活動しています。222nm紫外線殺菌・ウイルス不活化ユニット「Care222TM」について詳細はこちら

【お問い合わせ先】

学術・社会連携室
Tel:082-257-1990 FAX:082-257-1993
E-mail:ura*office.hiroshima-u.ac.jp(*を@に変換してください)


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