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広島夕学講座「デザインと美術の違いがわかるとモノを見る目が変わる!」(教育学研究科江崎哲教授)を開催しました。



12月17日(木)の広島夕学(せきがく)講座では,通常のインターネット配信による講座とは異なる,本学大学院教育学研究科の江崎哲教授による「デザインと美術の違いがわかるとモノを見る目が変わる!」を広島商工会議所と連携して開催しました。

講演は江崎教授の軽快な語り口で始まり,デザインの仕事に関するユーモアのある事例紹介等を交えたもので,デザインと美術の違いを分かりやすく説明するものでした。





江崎 哲 教授



最初の事例は婦人体温計のデザインという仕事についてでした。「お尻の形」をモチーフにしたいというクライアントの意向でとんでもないデザインになったものの,クライアントは通販で売る予定で,通販では普通のデザインでは売れにくいという傾向があるため,そのデザインで製造し結局完売したというものでした。

完売したことはともかくこの事例からは,デザイナーというと自分の思うまま,好き勝手にデザインをするというイメージが一般には強いですが,実際にはクライアントの意向を良く聞いて,それをどれだけまとめられるかが重要な仕事であるという説明がありました。



また,ヘッドフォンステレオの事例では,ステレオ本体のデザインはもとより,販売する際のパッケージに関する説明がありました。


例えば音楽をしっかり聴く大人をターゲットにした場合は本体のみに興味があるためパッケージに凝る必要はないが,子供をターゲットにした場合は,ポシェットのように肩から提げて使っている写真を使って子供にも一目で使い方が分かるようなパッケージとし,その箱のままおもちゃのように積み上げて売ることができるようなデザインにする。

一方,使い捨てても惜しくない低価格のステレオの場合は,電気店ではなくホームセンターかスーパーのレジ近くに電池等と同じ消耗品の感覚で吊り下げておいてレジの手前で財布の紐をもう一回緩ませて販売できるように,パッケージは透明で中身が見えて吊り下げることが出来るようなデザインにする。


この事例のように購買層や販売の仕方を視野に入れてデザインをするという説明がありました。





講演の様子



その他にもデザイン現場の分業体制やモダン・デザインの歴史についての説明もありました。


最後に,デザイナーの資質として発想力やセンス等があげられるが,最も大切なのは他人の話を聞くことができて,それに加えて更にいいデザインをプレゼンテーションすることが出来るという,コミュニケーション力であるという説明がありました。

そして美術とデザインの違いとして,美術は美術家の思想・価値観・生き様を鑑賞者に一方的に主張するものであるのに対して,デザインはデザイナー,使用者,設計者等との密接なコミュニケーションによって生まれるのであるという言葉で締めくくりました。



江崎教授の講演は時に笑い声が起こる楽しいもので,参加者にとってもデザインの内側を知るよい機会となったようでした。




この記事に関するお問い合わせ先】

広島大学教育室教育企画グループ(エクステンションセンター担当) 

TEL:082-424-6140

E-mail:extension-centeroffice.hiroshima-u.ac.jp

(@は半角に置き換えてください)


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