広島大学「かなた望遠鏡」と日・米・欧共同開発「フェルミ」ガンマ線観測衛星の共同観測研究(林田将明氏とGrzegorz Madejski氏(スタンフォード大学)が中心となって解析)によって、超巨大質量ブラックホールから噴き出るプラズマジェットの構造が明らかになりました。この研究成果は、2月18日(木)に科学誌「Nature」オンライン版で発表されました。 | |
今回、広島大学宇宙科学センターを含む国際共同研究グループは、「3C279」と呼ばれる活動銀河をフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡のガンマ線観測と同期したキャンペーン観測を提案し、X線衛星を含む多くの望遠鏡が参加しました。 広島大学の「かなた望遠鏡」は、今回の観測成果を出すにあたり決定的に重要な、可視光の偏光データを取得しました。この観測の期間中にフレ アーというガンマ線で10倍明るくなる現象が起こりました。このフレアー現象のガンマ線と可視光が同じような強度変化を示したことから、ガンマ線と可視光 が同じ所から出ていることがわかりました。また「かなた望遠鏡」の観測した可視光の偏光度から磁場がその発光場所ではきれいに整列していることがわかり、 偏光の方向がフレアー期間中、滑らかにかつ連続的に180度回転したことが観測され、これは磁場を伴った宇宙ジェットが緩やかに連続的に曲がっていると解釈できます。 宇宙ジェット現象は活動銀河中心の巨大質量ブラックホールが作るジェット以外にもかなり普遍的に存在することが観測 から分かっていますが、なぜできるのかそのメカニズムはよく分かっていません。この研究は、宇宙ジェットの生成されるメカニズムを理解する扉を一つ開いた と言えます。「かなた望遠鏡」と「フェルミ」ガンマ線観測衛星との連携観測は始まったばかりです。これからも我々の存在、生存条件を決める宇宙進化に大き な影響を与えたと思われる宇宙ジェットの研究を精力的に行って行く予定です。 |
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