大学院統合生命科学研究科
教授 浮穴 和義
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E-mail:ukena*hiroshima-u.ac.jp
(注: *は半角@に置き換えてください)
本研究成果のポイント
- 近年発見された脳内因子(Neurosecretory Protein GLと命名、略名NPGL)は食欲調節などのエネルギー代謝調節に関与します。
- NPGLはマウスにおいて短期間で肥満を誘導することを明らかにしました。
- 早期肥満誘導モデル動物を作製できたことから、今後、ヒトの肥満発症メカニズムの解明や生活習慣病対策への応用が期待できます。
概要
広島大学大学院統合生命科学研究科の浮穴和義教授、成松勇樹・大学院生(生命医科学プログラム博士課程後期1年)の研究グループは、カリフォルニア大学バークレー校(米国)との共同研究によって、エネルギー代謝調節に関わる新規脳内因子Neurosecretory Protein GL(略名NPGL)がマウスにおいて早期に肥満を誘導させることを見出しました。マウスを用いて、NPGLの機能解析を行った結果、NPGLは、摂食量や脂肪重量を顕著に増加させ、8週間という短期間で肥満を誘導することを明らかにしました。また、呼吸代謝や自発活動量を測定したところ、NPGLはエネルギー消費量を減少させることが分かりました。通常、肥満マウスの作製には16–20週間かかることから、今後、肥満研究推進の加速化に繋がることが期待されます。本研究成果は、国際誌「Neuroendocrinology」(Karger Publishers)にオンライン掲載されています(最新版10月16日)。
図1 NPGLを過剰発現させると、摂食量および脂肪合成に関わる遺伝子発現量の増加やエネルギー消費量の減少により、8週間程度で肥満を誘導しました。
研究費支援等
本研究成果は、科学研究費助成事業(基盤研究B、挑戦的研究(萌芽)、国際共同研究加速基金)、三島海雲記念財団、武田科学振興財団、上原記念生命科学財団などの研究費支援を受けて実施されました。
論文情報
- 掲載誌: Neuroendocrinology
- 論文タイトル: Hypothalamic Overexpression of Neurosecretory Protein GL Leads to Obesity in Male C57BL/6J Mice
- 著者名: Yuki Narimatsu, Eiko Iwakoshi-Ukena, Keisuke Fukumura, Kenshiro Shikano, Megumi Furumitsu, Masahiro Morishita, George E. Bentley, Lance J. Kriegsfeld, and Kazuyoshi Ukena(責任著者)
- DOI: https://doi.org/10.1159/000518969
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