<本研究に関すること>
広島大学両生類研究センター
准教授 三浦 郁夫
Tel:082-424-7323
FAX:082-424-0739
E-mail:imiura*hiroshima-u.ac.jp
(注: *は半角@に置き換えてください)
広島大学、京都大学、産業技術総合研究所、横浜市繁殖センター、北里大学およびキャンベラ大学とローザンヌ大学の国際共同研究チームは、網羅的ゲノム解析とバイオインフォマティックスを用いて、日本のツチガエルの2つの祖先集団(西日本と東日本集団)がそれぞれ異なる性染色体1)を持つことを明らかにしました。本種が持つ13対(2n=26本)の染色体のうち、第1と第3番染色体に相当します。一方、この2つの祖先集団から過去の交雑によって進化した新しい集団では、性染色体は第7番染色体であることがすでに知られています。
以上のことから、異なる2種類の性染色体をもつ集団の交雑によって、さらに別の性染色体の進化が誘導されるという、これまでとは異なる、全く新しい性染色体の進化様式が明らかとなりました。特に、この3種類の性染色体は、別のカエルにおいて相互に融合して6本の性染色体を進化させていることから、性染色体選択の必然性を強く示唆します。さらに、今回の発見により、ツチガエルが持つ、世界に類を見ない性染色体進化の全体像が解明されました(性染色体の取り替えが少なくとも2回、XY型からZW型への変換、そして性染色体が同形2)から異形3)への進化)。
本研究成果は、ロンドン時間の2022年6月12日23時(日本時間:2022年6月13日午前7時)「Molecular Ecology」オンライン版に掲載されました。
1)性染色体
性決定遺伝子を含む染色体のことを示す。それ以外の染色体は常染色体と呼ぶ。
2)3)異形(同形)の性染色体
XとY染色体、あるいはZとW染色体の形が相互に異なる性染色体を異形の性染色体という。これに対し、両者が形態的に区別がつかない場合を同形の性染色体という。哺乳類や鳥類はほぼ全ての種が異形の性染色体を持つが、爬虫類から魚類ではいずれのタイプも存在する。
4)1塩基多型
ゲノムのDNA配列において塩基が1つだけ異なる短い配列をいう。個体間のDNA配列の違いを多数検出することができる。
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掲載日 : 2022年06月17日
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