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中国のカーボンニュートラル実現に向けた運輸部門の脱炭素化への道筋の策定

本研究成果のポイント

  • 運輸部門に関する中長期シナリオを定量的に評価するため、交通モデルとエネルギーシステムモデルを組み合わせた統合評価フレームワークを開発しました。
  • 中国を対象として、運輸部門におけるエネルギー消費量の大幅な低減およびカーボンニュートラル目標の実現に向けた脱炭素化への道筋を示しました。
  • 交通計画とエネルギーシステム工学の分野横断研究を促進し、「回避(Avoid)、転換(Shift)、改善(Improve)」分析フレームワークを用いた統合評価を実施しました。

概要

 広島大学大学院先進理工系科学研究科理工学融合プログラムの張潤森助教は、国立研究開発法人国立環境研究所社会システム領域地球持続性統合評価研究室の花岡達也室長と共同で、中国のカーボンニュートラル実現に向けた運輸部門の脱炭素化の分野横断的なシナリオを評価し、温室効果ガス排出削減経路を分析しました。
 中国31省を対象とした運輸部門における長期的な脱炭素化への道筋と戦略について、開発した交通・エネルギー統合モデルを用いて、「回避、転換、改善(ASI:Avoid、Shift、Improve)」分析フレームワークに基づいて、輸送需要の削減、モーダルシフト(環境負荷の小さい輸送手段への転換)、および技術の改善などの全体的な観点から、様々な低炭素政策の有効性と実現可能性を評価しました。その結果、ASI分析フレームワークの下で、バランスの取れた低炭素交通政策パッケージを導入することで、2060年までに運輸部門におけるCO2排出量をベースラインシナリオと比べて最大で81%削減可能であり、中国のカーボンニュートラル目標に大きく貢献できることが分かりました。

 本研究成果は、学術誌『Nature Communications』に2022年6月24日に掲載されました。

参考資料

図1:2015年から2060年の運輸部門からのCO2排出経路

図2:2015年から2060年までのCO2累積排出削減率(ベースライン比)

論文情報

  • 掲載誌:Nature Communications
  • 論文タイトル:Cross-cutting scenarios and strategies for designing decarbonization pathways in the transport sector toward carbon neutrality
  • 著者名:張潤森1*、花岡達也2(*は筆頭著者)
    1.広島大学大学院 先進理工系科学研究科 理工学融合プログラム
    2.国立研究開発法人国立環境研究所 社会システム領域
  • DOI:10.1038/s41467-022-31354-9
【お問い合わせ先】

<研究に関すること>
 広島大学大学院先進理工系科学研究科 助教 張潤森
 Tel:082-424-3723 FAX:082-424-6904
 E-mail:rzhang*hiroshima-u.ac.jp

<報道に関すること>
 広島大学 広報室
 Tel:082-424-3749 FAX:082-424-6040
 E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp

 (注: *は半角@に置き換えてください)


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