大学院先進理工系科学研究科 化学プログラム 久米 晶子
Tel:082-424-7422
E-mail:skume*hiroshima-u.ac.jp
(注: *は半角@に置き換えてください)
広島大学大学院先進理工系科学研究科化学プログラムの久米晶子准教授および成均館大学(韓国)のSon Seung UK教授らによる研究チームは、酸化銅(Cu2O)ナノキューブを厚み数ナノメートルの有機レイヤー※2で均一に被覆することに成功しました。この有機膜レイヤーを介して銅上のCO2電解還元を行うことでメタンを選択的に発生することを見出しました。有機レイヤーの作成の際に、Cu2O表面のもつ触媒活性を利用して有機物を連結することで、Cu2O表面に対して厚みの揃った有機レイヤーを作成することができます。このように薄く空隙の多い有機レイヤーを作成することで、レイヤーを介して分子の輸送や電子移動を行うことが可能になります。作成した有機レイヤーは触媒表面の疎水性を高める効果があり、CO2還元に並行する水の還元とそれによる水素発生を抑制することで、CO2還元効率が向上することを見出しました。また、有機レイヤーで包んだナノキューブ触媒は、使用後も元の外形を保っており、今後触媒の耐久性や活性表面積に対する優位性が期待できます。
本研究成果は学術誌Chemical Communicationsオンライン版にて2022年6月23日付で公開されました。
図1 酸化銅(Cu2O)表面の活性を用いた均一な有機レイヤーによる被覆
図2 有機レイヤー成長に伴う水素発生の抑制とCO2還元後の触媒構造
※1 酸化銅ナノキューブ
塩基性Cu(II)水溶液を安定化剤の存在下、還元剤を添加すると還元反応が進行し、酸化銅(I)を生じます。反応条件によって酸化銅の微結晶が成長する結晶面およびサイズをコントロールでき、(100)面を安定化させるとキューブ状の構造体を得ることができます。このようなナノ構造触媒は活性な表面や大きな表面積を持つため、高機能触媒として広く応用されています。
※2 有機ナノレイヤー
界面での触媒反応は、溶液中の反応に比べてわずかな量の物質が界面に吸着することで大きく反応に影響します。有機分子は触媒表面に柔軟に吸着するために、多くは界面の触媒活性を失活させますが、レイヤー内で立体的な構造をコントロールすることで、触媒表面への選択的な物質供給や、触媒過程への分子的な介入によって触媒性能を上げるという点が注目されています。
大学院先進理工系科学研究科 化学プログラム 久米 晶子
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掲載日 : 2022年09月05日
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