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【研究成果】日本の機関に勤務する外国人研究者の多くが、適度な職能開発経験、所属意識、仕事量を感じながらも、高いストレスを感じている

研究成果のポイント

  • 「グローバル30」や「スーパーグローバル大学創成支援事業」といった政府の強力な政策によって、日本の大学や研究機関でも外国人研究者が2000年代から急激に増加しました。
  • 日本の機関に勤務する外国人研究者の経験の傾向については先行研究が存在し、全体ではおおむね職務に満足しているという報告がある一方で、強い疎外経験に不満を持っているという報告もあります。
  • 本調査では、複数の指標を用いて彼らの職務上のウェルビーイングを多角的に分析し、個人のこれら複数の指標の程度によって分類することで、どのような職務上のウェルビーイングのパターンを有する研究者がどの程度存在するかを明らかにしました。
  • 本研究は、外国人研究者を一つの同質の群としてみなすのではなく、個人の異なる職務経験に注目し、そのパターンの一端を示すことができました。
  • さらに、外国人研究者の異なるウェルビーイングのパターン群への分布は、日本語能力や出身国地域とも体系的な関係が見られませんでした。日本語能力が低いからといって、また、特定の出身国の研究者だからといって、ウェルビーイングに特定の傾向が見られるとは言えませんでした。
複数の指標を用いて外国人研究者の職務上のウェルビーイングを測定

複数の指標を用いて外国人研究者の職務上のウェルビーイングを測定

複数の指標の個人スコアによって外国人研究者を分類

複数の指標の個人スコアによって外国人研究者を分類

概要

 本研究は、本学の人間社会科学研究科の櫻井勇介准教授が主導し、長崎大学のMASON SHANNON LEE准教授と共同で行ったものです。日本全国の外国人研究者から協力を得て、質問紙調査を通してデータを収集しました。

 日本の機関に勤務する外国人研究者の多く (60%以上) が、適度な職能開発経験、所属意識、仕事量を感じながらも、高いストレスを感じていることが明らかになりました。また、10%に満たない程度ですが、日本での勤務の中で、自身の能力開発経験をあまり感じず、所属意識も特に低い外国人研究者群の存在は、広島大学のように国際化を志向する大学にとっては留意すべきです。

 これらの群への分類は、日本語能力レベルや出身国地域といった外国人研究者の特質とは関係性が見られなかったことも注目すべきです。外国人研究者のウェルビーイングの状況は、彼らの属性の違い (言語能力や出身国) によるのではなく、日本の所属機関での経験そのものがより良く説明する可能性を示唆しました。

 日本のように外国語 (特に英語) が一般的に用いられていない文脈において、このような結果が得られたことは意外でした。日本語能力がより良い高い研究者ほど、より良好な状態で職務に臨んでいるだろうと推測していたからです。外国人研究者がどのような背景や能力を持っていたとしても、それ自身が彼らのより良い職務経験につながるのではなく、周囲の環境や同僚との関係性を検討すべきで、広島大学の教職員や職務環境が外国人研究者にとってより良いものであるか意識していかなければなりません。

論文情報

  • 論文タイトル:Foreign early career academics’ well-being profiles at workplaces in Japan: a person-oriented approach
  • 著者:櫻井勇介1、 Shannon Mason2
    1 広島大学教育学習支援センター・高等教育研究開発センター
    2 長崎大学教育学部
  • 掲載雑誌:Higher Education (2022)
  • 出版社:Springer Nature
  • DOI番号:doi.org/10.1007/s10734-022-00978-7
お問い合わせ先

教育学プログラム高等教育学コース

教育学習支援センター

高等教育研究開発センター

准教授 櫻井勇介

sakurai[at]hiroshima-u.ac.jp

(注: [at]は半角@に置き換えてください)


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