説明会の様子
広島大学大学院生物圏科学研究科の加藤範久教授、酒類総合研究所の伊豆英恵主任研究員らを中心とした研究グループは、ビール酒造組合との共同研究により、アルコールの適量摂取が健康にプラスになることを老化促進モデルマウス※1と高脂肪食摂取ラット※2を用いた実験で実証し、平成25年10月2日に東京オフィスで記者説明会を実施しました。
これまで多くの疫学的調査により適量のアルコールを飲んでいる人は、全く飲まない人やアルコールを多量に飲む人と比べて死亡率が低いことが報告され、アルコールのJ-カーブ効果として知られていました。しかしながら、疫学的調査ではJ-カーブ効果がアルコールの直接的影響かどうかを判断するのは困難です。直接的影響か否かを判断するには、動物実験で調べる必要がありますが、そうした研究は少なく、アルコールのJ-カーブ効果を動物実験で再現した報告はありませんでした。
今回の動物実験の結果は、適量のアルコール摂取が老化を抑制し、肝機能を改善することを示しており、J-カーブ効果とも一致することを世界で初めて実証したものです。
本研究成果は、第66回日本栄養・食糧学会大会(平成25年5月19日、名古屋)、IUNS 20th International Congress of Nutrition (平成25年9月18日、グラナダ)で発表済みで、今後は平成25年度日本醸造学会大会(平成25年10月16〜17日、東京)においても発表を行います。
(用語解説)
※1 老化促進モデルマウス:老化促進、短寿命を示すマウス系統をいう。老化モデル動物としての有用性が認められており、老化研究で頻繁に用いられる。免疫機能不全、学習・記憶障害、老年性骨粗鬆症、白内障等の老化に関わる様々な症状を示す。
※2 高脂肪食摂取ラット:本実験では、通常の栄養実験で広く用いられているSprague Dawley系雄ラットに高脂肪食として30%の牛脂を含む食餌を12週間自由摂取させた。その飼育期間中にアルコールを含む飲料水を与えている。
説明を行う加藤教授
【お問い合わせ先】
(研究に関すること)
大学院生物圏科学研究科
教授 加藤 範久
Tel: 082-424-7980 Fax:082-424-7916
E-mail: nkato*hiroshima-u.ac.jp
(記者会見に関すること)
学術・社会産学連携室 広報グループ
TEL:082-424-4518
E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp
※*は@に置き換えてください。