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高橋助教 東北大金属材料研 研究部共同利用・共同研究若手萌芽研究最優秀賞を受賞



本学理学研究科および極限宇宙研究拠点(CORE-U)所属の高橋弘充助教が、第3回 東北大学金属材料研究所 研究部共同利用・共同研究若手萌芽研究最優秀賞を受賞しました。



受賞記念写真 (東北大学金属材料研究所にて、前列左側が高橋助教)

この賞は、東北大学金属材料研究所の共同利用・共同研究で優れた成果を上げた若手研究者に対し、研究意欲を高め、更なる研究の展開を支援し、材料科学研究分野の発展に資することを目的として授与されるものです。



高橋助教は、広島大学、東北大学、株式会社トクヤマ、スウェーデン王立工科大学が共同開発した中性子検出器を用いて、世界で初めて北極圏において地上から上空30-40kmまでの大気中性子のフラックス(降り注ぐ個数)の推定成功したことで表彰されました。

従来の検出器は、材料のヘリウム3の枯渇と価格の上昇が問題となっています。新たに開発した検出器は、ヘリウム3を使わないで、サイズをコンパクト(数cmサイズ)に保ったまま、中性子を観測する際に障害となる大気中ガンマ線などの影響を取り除き、中性子のみを高感度(100%近い検出効率)で検出できるほか、リチウム・カルシウム・アルミニウム・フッ素という地球上にありふれた安価な物質のみを利用して作成することが可能となりました。

高橋助教が参加するPoGOLino/PoGOLite研究チームは、この検出器を気球に搭載し、北極上空での観測を行うことで、実際にガンマ線などの影響が高い環境下においても中性子を高感度で観測できることを明らかにしました。

検出器を搭載した気球の放球の様子

(2013年3月、スウェーデン・キルナ市において)(C) KTH/OKC スウェーデン

この検出器開発により、天体観測において問題となる大気中の中性子の影響を正確に推定することができるようになり、気球や人工衛星などを使った天体の観測精度の向上が可能になりました。

【詳細】

従来、中性子検出器としてはヘリウム3ガスを利用した検出器が主流となっていましたが、最大の供給源であった米国がヘリウム3の生産を中止したことにより、今後ヘリウム3の枯渇が予想されており、これに代わる物質を利用した中性子検出器の開発に世界から注目が集まっています。

こうした中、高橋助教らのチームは新規に開発されたLiCAFシンチレータ結晶を用いた高感度な中性子検出器の開発に成功しました。LiCAFは潮解性がなく安定な素材であり、また固体であることからガスに比べて密度が高いため、コンパクトで高感度な検出器を作ることができます。

LiCAFは中性子だけではなく大気中を飛んでいる荷電粒子やX線・ガンマ線にも反応するため、荷電粒子やX線・ガンマ線に反応するBGOシンチレータで覆いフォスイッチ構造とすることで、LiCAFから発せられた信号から荷電粒子やX線・ガンマ線の影響を取り除き、中性子のみを精度よく検出することを可能としました。

高橋助教らは、この検出器をPoGOLinoおよびPoGOLite気球実験に搭載し、北極上空での観測を行うことで、実際に荷電粒子やガンマ線の影響が高い環境下においても中性子を高感度で計測できることを明らかにしました。



この検出器開発により、X線やガンマ線の天体観測において問題となる大気中性子の影響を推定することができるようになり、気球や人工衛星などの飛翔体による天体の観測精度の向上が可能になりました。また、この検出器は固体シンチレータを利用しており反応確率も高いため、真空、低温、重量が限られた環境下での利用にも適しています

【お問い合わせ先】

広島大学学術・社会産学連携室 研究企画室(担当:林)

Tel:082-424-4426

E-mail:ura*office.hiroshima-u.ac.jp(注:*は半角@に置き換えてください)


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