学長就任のご挨拶

学長就任のご挨拶 2007.5.22

学長就任挨拶

このたび牟田学長の後任として、第11代の広島大学長を務めることになりました。どうかよろしくご指導、ご支援いただきますようお願い申し上げます。

21世紀の知識基盤社会を迎えて、高等教育機関である大学の役割はますます重要性を増し、特に法人化された国立大学においては、社会に対する責任は高まっていると考えます。教養教育や診療並びに産学連携等による社会貢献研究を通じて、次の世代を担う優れた人材の育成、人類の発展に貢献できる科学研究、それに環境問題や人類がかつて経験したことのない超高齢化社会への対応などにおいて実質的な成果が求められています。

ローバル化が進んだ今日、多様な情報化社会の中で高度専門化の度合いは益々増幅しています。このような国際化社会が進めば進むほど、そこで活躍する人材は豊かな人間性を備え、バランスの取れた知識を持つ必要があります。教養教育を通じて豊かな人間性を備え、バランスの取れた知識を持つ学生を育成し、その上で専門教育を身に付け、一般社会や国際社会に貢献できる品位ある優れた社会人の育成に努めねばなりません。そのためには入学者選抜制度の見直し、充実した教育プログラムの運用など、学生の視点に立った大学運営に取り組みたいと思います。

広島大学はわが国の基幹大学のひとつであると同時に、教育や研究実績に基づく社会貢献面で世界をリードする大学でもあります。地域の様々な分野で指導者として活躍する人材の育成という責務を果たすと同時に、世界の教育・研究拠点としての役割、未来社会のための科学研究の発展にも貢献してきました。また、これらの高度で先進的な研究に触れることにより学生の可能性を引き出し、その潜在能力を一層開発、発展させる仕組みの構築に取り組んできました。この実績を土台として、基礎的研究成果を十分に積み重ね、社会に貢献できる応用研究に発展させ、世界の研究拠点となるよう努めなければなりません。
平成16年の法人化により、国立大学は運営の裁量権を与えられました。この裁量権を有効に機能させ、いかに魅力ある教育、研究環境を整備できるかが問われていると思います。同時に国立大学の運営には多額の税金が投入されている現実を構成員全てが再認識し,国民に対して国立大学の役割が十分に理解されるよう,重い説明責任を負っていることも,忘れてはならないと思います。そのためには教員と事務職員、技術職員が一体となって、本学の同窓生および地域の人々と協調して、本学の発展、ひいては地域や国のためにという目標を明確にして取り組む必要があると思います。このためには、学生、教職員が授業に専念でき、教育・研究などに十分な時間を割いて取り組むことができる環境整備に努めなくてはならないと考えます。

教育・研究・社会貢献の面で大学間競争は、すでに国際間の競争に進んでおります。ただ、教育成果をあげるのに奇策は無いと思います。学生と教職員が面と向き合って、熱意を持って取り組まなくてはならない最重要課題です。一方で、研究面では戦略的対応が必要です。わが国においては最近、経済財政諮問会議、教育再生会議、総合科学技術会議、イノベーション25会議などで一様に大学・大学院改革の必要性が提言されております。これらの環境変化、社会の要請に対して大学は応えていかなくてはなりませんが、決して近視眼的になるのでなく、将来を見据えて、進むべき方向性を誤ることのないように高等教育機関としての使命を果たしたいと考えます。

これまで示された広島大学の長期ビジョンを基に3−4ヶ月かけてaction planを作成し、構成員に提示する予定です。そしてより明確な目標の下、広島大学の理念5原則に沿って広島大学の発展を目指したいと思います。

なにとぞ格別のご理解とご支援をいただきますようお願い申し上げます。

2007.5.22
広島大学長 浅 原 利 正


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