令和7年度 原爆死没者追悼式

広島大学原爆死没者追悼式 追悼の辞 (令和7年8月6日)

 被爆80年という節目の「原爆の日」を迎え、本日ここに「広島大学原爆死没者追悼式」を執り行います。広島大学を代表して、原爆の犠牲となられた教職員と学生、生徒、児童の方々の御霊(みたま)に、謹んで哀悼の誠(まこと)をささげます。

 今年も、ご遺族や大学関係者に加え、世界の大学の学長の皆様にご参列いただきました。皆様のご臨席に、心より感謝申し上げます。

 先ほど追悼之碑に、この1年で新たに確認された13人を加え、計2,112人の名簿を奉納いたしました。あの日、前身校の多くが灰となり、多数の若い命と学びの場が失われました。私たちは、その無念を決して忘れてはなりません。

 昨日、霞キャンパスの地中から、今年に入って2つ目となる戦時中の砲弾が発見されました。かつて兵器が集められたその地は、今や命を救う医療の場です。広島大学は、人を傷つける場から、人を癒す場へと歩みを進めてきました。

 昨日は、中丸三千繪さんによる平和を願うチャリティコンサートが行われ、今日午後には世界の大学の学長を迎え、「平和学長会議」を開催します。大学は、理性と対話をもって、持続可能な平和を築く役割を担っています。

 被爆者の平均年齢は86歳を超え、「被爆者なき時代」が目前に迫る中、広島大学は若い世代に被爆の実相を伝える取り組みを進めています。今年は世界16か国から140人以上の学生が「Peace Study Tour」で広島を訪れています。

 私たちはこれからも、「平和を希求する精神」のもと、平和な世界の実現と人類の幸福に貢献する大学であり続けることを、ここにお誓い申し上げ、追悼の言葉といたします。

 

令和7年(2025年)8月6日
広島大学長 越智光夫


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