第164回学位記(博士)授与式

学長からのお祝いの言葉(第164回 学位記(博士)授与式) 2012.7.17

「高い志の下で共生社会の実現を」

本日、広島大学より16名の方に学位を授与させていただきました。誠におめでとうございます。学位を取得されるまでに積み重ねてこられました多くの努力、熱意に対して、心から敬意をささげるとともに、この間の広島大学での学生生活が皆さんの将来の人生にとり有意義なものになりますことを願っています。

学術研究の進歩は誠に急速で、かつ幅広く展開し、新しい研究領域も生まれています。これらの成果は人類社会の発展に大きな貢献となり、持続可能な未来社会構築に資するものでなくてはならないと思います。しかし、一方では環境破壊や環境汚染、エネルギー・水・食料などの資源の枯渇、原発事故、テロなどの人為的な新しい課題も生んでいます。人類社会が手に入れた豊かさや便利さを振り返ってみますと、豊かになったが故の代償、便利になったが故の代償はかなり大きいものと思われます。21世紀人類社会は、克服するべき多くの課題に直面しており、私たちが一体となって、これらの課題解決に向けて取り組むことが求められています。

21世紀社会、中でも東アジアでは、少子化とともに急速に高齢化社会が進展しています。また、学術研究の進歩につれ、グローバル社会の進展は加速度を増しています。グローバルに展開する人類社会では異文化理解を深めて、お互いが相手を受け入れることにより、「共存」することが求められています。高齢化社会においても、高齢者がそれぞれの人生で身に付けたものを活かせるような「共生社会」の実現が期待されていると思います。

人類の未来社会が真に目指すところは、これまで人類が育んできた「知」を活用して、人間一人ひとりの立場が尊重され、お互いに支え合うことで「共生」を実現し、健康で心豊かな生活を営むことができる社会の実現であると思います。このたびの皆さんの優れた業績が、様々な形で人類の未来社会への貢献につながりますことを心より願っています。

これから社会に出て行く皆さん一人ひとりが志を高く持ち、「社会人の使命が社会貢献である」ことを肝に銘じて、「共生社会」としての国際社会や地域社会を実現し、様々な形でその社会を支える有為な人材として、与えられた役割を果たされますことを心から祈念してお祝いの言葉といたします。

本日は誠におめでとうございます。そして、これからの益々の活躍を期待しています。

平成24年7月17日
広島大学長 浅原 利正


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