平成24年度(秋季学位記授与式)

学長式辞(平成24年度秋季学位記授与式)2012.9.25

「志は高く」

本日、広島大学より231名の方に学位を授与させていただきました。誠におめでとうございます。学位を取得されるまでに積み重ねてこられた皆様の努力、熱意に対して心から敬意をささげるものです。

最近の学術研究の進歩は目覚ましく、人類社会に多くの恩恵をもたらしています。同時に、食料・エネルギーなど資源の枯渇の問題に直面し、環境破壊や環境汚染など、急ぎ取り組まなければならない重要な課題も明確になっています。さらには、中東を中心とする地域における民主化運動や繰り返し発生するテロなどの悲惨な社会を生んでいます。私たちは学術研究の進歩により豊かさ、便利さを得た反面、それらに対する大きな代償も突きつけられているといえます。昨年の東日本大震災は、自然との共存を怠ったがために大きな代償を払うことになったと受け止められます。21世紀は、私たち人類が一体となって、これらの課題解決に向けて取り組むことが求められています。

中でも欧州で1300年、北米で400年足らず、日本で130年を経た「知の創造拠点」としての大学は、社会との連携をより密接に図りつつ、目指すべき持続可能な未来社会構築のために、その役割は益々重要になってきています。21世紀知識基盤社会が真に目指すところは、これまで人類が育んできた「知」を活用して、大学と国家、大学と地域社会、大学と国民とが密接に連携して、人類社会の課題解決に向けて取り組み、心豊かな未来社会構築を目指すことであろうと思います。人間一人ひとりの立場が尊重され、また、お互いに支え合うことで、充実した心豊かな生活を営むことができる社会の実現を目指さなくてはなりません。この度の皆さんの優れた業績が、これからの学術研究発展の大きな礎になり、ひいては人類の目指す心豊かな未来社会構築に貢献できますことを心より願っております。

これから社会に出て行く皆さん一人ひとりが志を高く持ち、社会の中でも様々な経験を重ね、大きく成長されることを願っています。加えて、広島大学で高いレベルの学術研究を成し遂げ、学ばれた皆さんが国際社会や地域社会の一員としての自覚を持ち、社会を支える有為なスタッフとして、地域社会や国際社会で重要な役割を果たされますことを心から祈念してお祝いの言葉といたします。

本日は誠におめでとうございます。

平成24年9月25日
広島大学長 浅原 利正


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