平成25年度(秋季学位記授与式)

学長式辞(平成25年度秋季学位記授与式)2013.9.25

本日、晴れて学位記を受けられる卒業生、修了生の皆さん、誠におめでとうございます。平成25年度秋季学位記授与式を挙行するに当たり、広島大学を代表して、心からお祝い申し上げます。

私たち人類社会は益々激しく、かつ急速に変化しています。その中で、北アフリカ、中東の民主化運動は多くの尊い生命を犠牲にしながら、見えない道程の中で苦しんでいます。化学兵器やテロの脅威も絶えません。日本では、東日本大震災からの復興、福島第一原発事故の復旧は被災地の住民の期待に反して遅々として進まず、忸怩たる思いです。気象観測史上初めてという暑い夏を経験し、たびたび発生する集中豪雨や竜巻など地球温暖化の影響が懸念されています。

一方では学術研究の進歩は目覚ましく、化石燃料や原子力に代わる地球にやさしい新エネルギー開発が加速しているようです。さらには加齢黄斑症に対するiPS細胞による臨床応用がいよいよ来年から開始され、再生医療が第一歩を踏み出そうとしています。将来の「はやぶさ」の新しい動力として「マイクロ波ロケット」「軌道エレベーター」などの開発が進んでいるようです。科学への期待は膨らんでいます。

このような社会環境の中で皆さんは広島大学で学ばれ、学生生活を通じて、貴重な経験を重ね、広島大学の歴史に大きな足跡を残されました。その業績は永遠に記録されていきます。
人類社会は益々グローバル化が進み、ボーダレス化が加速することで、国際交流は常態化し、社会環境変化も激しく、予測困難な社会になってきています。これから社会に出て行く皆さんには、このような環境変化を受け入れ、国際社会と関わりつつ活動することが求められます。つまり進展するグローバル化社会で活躍する人材が求められています。広島大学ではそのような社会環境変化を予測してグローバル人材を育成する取り組みを進めています。教養教育の充実を図ることで幅広い視野を身に付け、留学体験、異文化体験を通じて失敗を恐れず何事にも挑戦する強い意志を持ち、社会人基礎力を涵養するとともに、異なった意見や文化を受け入れる寛容さを備え、社会の様々な課題解決に資する人材に育っていくよう願っています。

これからの人生において、社会の一員としての役割を自覚し、他者への思いやりを忘れず、人類社会への貢献という高い志の下で、失敗を恐れぬ勇気を持つことを皆さんに期待しています。社会での様々な困難に遭遇しても、広島大学で学んだという誇りを忘れず、自らの判断と責任でそれを克服できる強い人間に育っていくよう願っています。広島大学での学生生活を通じて形成された人のつながりを大切にし、今後も地域社会、国際社会で人間同士の絆を育みつつ、支え合って、充実感あふれる人生を展開してください。

新しい門出を心から祝福するとともに、皆さんの前途が希望に満ちた未来に繋がることを祈念し、お祝いの言葉といたします。

平成25年9月25日
広島大学長 浅原 利正


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