第170回学位記(博士)授与式

学長からのお祝いの言葉(第170回 学位記(博士)授与式) 2014.1.21

2014年、新しい年の始まりに、本日、広島大学から、16名の方に学位を授与させていただきました。誠におめでとうございます。広島大学を代表して心からお祝い申し上げます。

このたび取得された学位の学術的価値はもとより、獲得するまでに積み重ねてこられた貴重な経験が、皆さんの今後の人生で大きく輝き、力強い支えになりますことを期待しています。更には、この度の皆さんの優れた業績が、21世紀知識基盤社会の根幹である学術研究発展の大きな礎となり、希望に満ちた未来社会構築に大きく貢献出来ることを確信しています。

学術研究の急速な発展は、人類社会におけるグローバル化の進展を益々加速させ、我が国においては人類がかつて経験したことのない超高齢化社会を迎えています。社会を取り巻く環境変化は予測困難で、克服するべき課題も多く生まれています。地球の限られた資源の中でのエネルギー問題、食料、水などの資源の枯渇、深刻化する大気汚染や地球温暖化、それに起因する集中豪雨、台風や竜巻被害のような自然災害の甚大化など、人類社会の将来に向けて環境問題への取り組みは極めて重要な課題です。迷走する民主化運動、テロや領土問題、更には先進国や発展途上国を問わず拡大する貧富の格差が課題となっています。遅れている東日本被災地復興には、多くの有形無形の支援が求められています。都市部においても今後急速に進展すると予想される高齢化社会への対応も急を要する課題です。直面している少子化や人口減少に対しては高齢者や女性の活躍促進に真剣に目を向けなくてはなりません。

この様な社会環境変化は今後もとどまることなく、人類社会は益々複雑性、多様性を増していくと思われます。そういう環境変化が続く中、皆さんは社会に出て行くことになります。

「物の豊かさ」や「便利さ」など、経済を優先してきた結果生じた歪みを是正するためには、人類社会は感性に目覚め、心の豊かさが価値観として共有される社会を目指すべきと考えます。先人から受け継いだ知恵を若者に伝え、地域社会においてこれまで以上に「お互いが支え合う社会」を目指し、同時に、異文化理解を深め、多様性を受け入れるグローバル人材の育成に取り組み、「共生」を目標とした国際平和構築を目指すべきであると考えます。

広島大学で学び、高いレベルの学術研究を成し遂げた皆さんが、これまでに培われた能力を活かし、人間として、社会人として大きく成長し、国際社会、地域社会を支える有為な人材として、未来社会に貢献されますことを心から祈念してお祝いの言葉といたします。
本日はまことにおめでとうございます。

2014 年1月21日
広島大学長 浅原 利正


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