平成26年度(秋季入学式)

学長式辞(平成26年度入学式)2014.10.1

 本日、ここに平成26年度広島大学秋季入学式を挙行するにあたり、新入生の皆さんの広島大学への入学をお祝い申し上げますとともに、心より歓迎いたします。広島大学での学生生活が、皆さんの人生にとって有意義なものになるよう祈念しています。

  本学は、明治7年に創設された白島学校を嚆矢として、幾多の変遷の後、それまであった8校を包括・併合して、原子爆弾で被災した広島市東千田町をメインキャンパスに、昭和24年5月31日、新制広島大学として設立されました。平成7年には現在の東広島市への統合移転を完了し、現在、11学部、11研究科を擁する、学生数約15,000人の我が国でも有数の総合研究大学に発展して参りました。

  昨年には研究大学強化促進事業に採択され、本年はスーパーグローバル大学創成支援事業にも採択されました。このことは「日本の大学を代表して研究力、教育力向上に取り組み、世界レベルの大学として国際社会に貢献する」ことが強く期待される大学とし位置付けられ、本学の将来に向けた方向性が明らかになったことを意味します。

  この50年を振り返っても人類社会はグローバル化が急速に進展し、社会の構造や仕組みが分かりにくくなり、益々多様性、複雑性を増しています。学術研究の発展は我々の生活を便利にすることで大きな恩恵を与えていますが、一方でイデオロギーの衝突、領土問題、拡大するテロの脅威、再興・新興感染症、頻発する自然災害など、新しい課題が生じています。これら人類社会の抱える課題解決に向けて、「知の基盤」として機能してきた大学の果たす役割は今後益々大きくなっていくものと想像されます。

  平成23年3月11日に発生した東日本大震災、それに本年8月に発生した広島市大規模土砂災害は、我が国や地域に大きな被害をもたらし、私たちが改めて自然との共生にしっかりと向き合わなければならないことを教えてくれたと思います。私たちは、これらの大きな犠牲を決して忘れることなく、今なお進まない被災地の復興に目を向けていかなくてはなりません。

  「人間は歴史から学ぶことのできる唯一の動物」と言われています。これらの貴重な経験を活かして安心で安全な人類社会の構築に努めなければなりません。

  また、物の豊かさを求めるが故に失われがちであった心の豊かさに注目し、多様性・複雑性を増す社会に相応しい新しい価値観に基づく社会を構築していかなくてはならないと思います。

  大学は学生が主体的に学び、学問を修める所です。皆さんが在学期間中に生涯にわたって学び続ける姿勢を身に付け、優れた芸術文化に触れることで感性を磨き、豊かな人間性を涵養するよう努めてください。

  社会環境変化は激しく、予測困難な時代に向かっています。環境変化を正面から受け止めて、将来に目を向けることのできるたくましい人材を社会は求めています。

  本日、広島大学に入学された皆さんは、これから始まる学生生活の中で学びによって何を身に付けるのか目標を明確にし、その目標を実現するため失敗を恐れず何事にも果敢に挑戦し、挫折や困難を乗り越えることのできるたくましい人間に育っていくことを心より願っています。

  本日、ここに228名の新入生を迎え、「未来社会への貢献」という大きな目標に向かって、学生・教職員が一体となって力強く歩み続けたいと思います。
  改めて、皆さん入学おめでとうございます。

平成26年10月1日
広島大学長 浅原 利正


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