第176回学位記(博士)授与式

学長式辞 第176回学位記(博士)授与式 (2015.7.21)

 広島大学博士の学位記を受けられる10人の皆さん、本日は誠におめでとうございます。第176回学位記授与式を挙行するにあたり、広島大学を代表して心よりお祝い申し上げます。

 皆さんが晴れてこの日を迎えられたのは、ご自身のたゆまぬ研鑽と努力の賜物であり、堂々と胸を張ってほしいと思います。それと同時に、ご家族や友人、教員等、様々な人たちの理解と支えがあったはずです。まずはこれらの方々への感謝の気持ちを忘れないでいただきたいと思います。

 そのうえで、しっかり胸に刻んでいただきたいことがあります。博士号取得は決してゴールではなく、自立した研究者としてのスタートラインに立ったにすぎない、ということです。医学にせよ理学にせよ文学にせよ、専門の領域に関する一定の研究能力を認められたことは確かですが、それだけが博士に求められる資質ではありません。

 英語で博士はPhDと表記されることはご承知でしょう。Doctor of Philosophyの言葉どおり、もともとはリベラルアーツの学位だったのが、学術全般の最高学位を指すようになったと言われています。私は「その道に対する自分なりの哲学を持っていることではないか」というふうに考えています。

 昨今、相次いでいる研究不正や倫理を問われる事件も、こうした哲学の欠如が背景にあるのではないでしょうか。そのためにも専門分野のみにとどまらず、リベラルアーツ、すなわち幅広い教養を進んで身に着けていただきたいと思うのです。

 ご承知のように、広島大学は一昨年8月に文部科学省の「研究大学強化促進事業」の22機関に採択され、続いて昨年9月には文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援」タイプA(トップ型)13大学の1つに選ばれました。旧帝国大学と肩を並べて「10年後に世界ランキングトップ100を目指す教育・研究力を持つ大学」として認められたことは、誇りであるとともに、大きな責任を引き受けたともいえます。

 「100年後にも世界で光り輝く広島大学」を目指し、これから世界や地域に羽ばたいていかれる皆さんとスクラムを組んで、研究力と教育力を磨いていければと願っています。是非英語力を磨き、国際的な視野を持っていただきたいと思っています。本学は、若手教員には(DR:Distinguished Researcher)を認定する制度を設けています。ぜひ皆さんもチャレンジしていただきたいと思います。

 終わりに、皆さんの前途が希望に満ちた未来に繋がることを祈念して、はなむけの言葉といたします。

平成27(2015)年7月21日
広島大学長 越智光夫


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