平成29年度(秋季学位記授与式)

学長式辞(平成29年度秋季学位記授与式)2017.9.20

本日、学位記を受けられる312名の卒業生、修了生の皆さん、誠におめでとうございます。
平成29年度秋季学位記授与式を挙行するにあたり、広島大学を代表して心からお祝い申し上げます。とりわけ海外からの留学生の皆さんは、言葉や文化、生活習慣の違いという壁を乗り越えられ、人一倍努力をされてきたことと思います。この場であらためて敬意とねぎらいの言葉を贈ります。同時に、きょうの喜びはご家族や友人、先輩、後輩など周りの人々の理解と協力があって成し遂げられたことも、忘れないでいただきたいと思います。

さて、皆さんは「自由で平和な一つの大学」を建学の精神とする広島大学で、学を修められました。後の世からみると、歴史の1ページが刻まれた時期であると思います。昨年5月、米国の大統領として初めてバラク・オバマ氏が広島市の平和記念公園で献花を行い、核なき世界に向けてのメッセージを発信しました。そして今年7月には核兵器禁止条約が国連で採択されました。条約成立に大きな役割を果たされた中満 泉(なかみつ いずみ)国連事務次長が8月6日、広島市の平和記念式典に参列され、本学でも講演されました。一方で、弾道ミサイル発射や核実験による威嚇と挑発が繰り返され、被爆者の方々はもとより国際社会の願いを踏みにじるような厳しい現実があることを認めなければなりません。

皆さんの中には、新たな門出に胸を膨らませながらも、一抹の不安を抱いておられる人がいるかもしれません。そんな時代だからこそ心に刻んでいただきたい名言があります。ナチスの強制収容所での体験記録「夜と霧」を書いたユダヤ人の精神医学者ヴィクトール・E・フランクルの言葉です。
「あなたの存在、あなたの人生には、すばらしい意味がある。いかなる絶望にも希望がある。」
たとえ、どんな状況になっても、私たちは希望を持ち続け、一日一日を前向きに生きていきたいと思います。

さて広島大学は今年4月、今後10年間の長期プランとなる「SPLENDOR PLAN 2017」を策定しました。この中で、新しい平和科学の理念である「持続可能な発展を導く科学」を確立し、多様性をはぐくむ自由で平和な国際社会を築く役割を果たすことを本学のミッションとして掲げています。
また来年4月には、新たに情報科学部と総合科学部国際共創学科を設置することが決まりました。ビッグデータや人工知能(AI)に象徴される高度情報化、グローバル化の急速な進展によって世界は大きく変容しています。激動の時代を生きる皆さんには、情報リテラシーと英語によるコミュニケーション能力に磨きをかけ、「平和を希求し、チャレンジする国際的教養人」として、大きく羽ばたいていただきたいと思います。

終わりに、皆さんの前途が夢と希望に満ちたものとなることを祈念いたしまして、私からのはなむけの言葉といたします。

平成29年9月20日
広島大学長 越智光夫


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