令和元年度 原爆死没者追悼式

広島大学原爆死没者追悼式 追悼の辞 (2019.8.6)

 74回目の「原爆の日」が巡ってまいりました。
 ご遺族、同窓会代表をはじめとする関係者の皆さまのご出席をいただきまして、「広島大学原爆死没者追悼式」を挙行するにあたり、原爆の犠牲となられた方々の御霊(みたま)に、広島大学を代表し謹んで哀悼の誠(まこと)をささげます。

 あの日、広島大学の前身諸学校のうち広島市内にあった12校は、校舎の倒壊や焼失など甚大な被害を受けました。また、多くの学生・生徒・児童や留学生、教職員が学校内外や勤労動員先で被爆し、尊い命を奪われました。

 被爆から4年後、平和都市広島のシンボルとして開学した広島大学は今年、創立70周年の節目を迎えます。文部大臣を経て初代学長に就任した森戸辰男先生が唱えた「自由で平和な一つの大学」を建学の精神とし、「平和を希求する精神」を理念5原則の第一に掲げて歩んでまいりました。

 私も学長就任以来、「平和を希求し、チャレンジする国際的教養人」の育成に取り組んできたところでございます。「平和科目」を全学部生の選択必修科目として開講しているほか、今年度からは大学院共通科目でも平和に関する科目を新設しました。

 また、各国の政府代表者や駐日大使に平和をテーマに講演していただく「ピースレクチャーマラソン」を昨年度から実施し、これまでにリトアニアの首相やエジプトの高等教育大臣をはじめ4人の講師をお迎えしております。

 先ほど「広島大学原爆死没者追悼之碑」に、この1年間に確認された18人のお名前を書き加え、合わせて1,999人の方々の名簿を、奉納させていただきました。

 昭和49年に建立された追悼之碑には「広島大学が人類平和の確立に敢然寄与すべきふかい学問的責務を負う」という、当時の飯島宗一学長の言葉が記されています。

 新しい令和の時代に当たり、あらためて飯島先生の言葉を胸に刻みつつ、教育研究および社会貢献活動を通じて平和な人類社会を築くために、広島大学は教職員および学生が一丸となって努力してまいることをお誓い申し上げ、追悼の辞といたします。

令和元(2019)年8月6日
広島大学長 越智光夫
 


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