遺伝性乳がん卵巣がんについて

 先日、センセーショナルな新聞記事に驚かれた方が多かったのではないでしょうか?
 アメリカのハリウッド女優アンジェリーナ・ジョリーさん(37歳)が乳がんや卵巣がんのリスクを高める遺伝子の変化が見つかったため、発症する前に両側の乳房切除術を受けていたことが発表されました。さらに今後は、卵巣がんの発症予防を目的とした両側の卵巣摘出手術を考えているとのことです。ジョリーさんの母親が約10年間におよぶがんの闘病生活の末、56歳で亡くなったことが遺伝子検査を受けるきっかけとなったそうです。
 遺伝する乳がんや卵巣がんがあるの?と思われる方がいらっしゃるかも知れません。がん細胞そのものが親から子へと伝わることはありません。また、多くのがんは遺伝する病気ではありません。しかし、親から子に遺伝することのある「遺伝性のがん」が存在することは事実です。「遺伝性」というのは、がんになりやすい遺伝子を受け継いでいるということです。
 遺伝カウンセリングとは、遺伝性疾患の患者さんやご家族、またはその可能性のある方に対して、その方の人生観や価値観に沿った生活設計上の選択を、ご自身の意思で決定し行動できるよう、医学的な情報提供とともに、それに伴う精神的および社会的な支援を行う医療行為です。
 広島大学病院遺伝子診療部における遺伝カウンセリングでは、遺伝性乳がん卵巣がんに関する知識と経験が豊富な専門医と、昨年度まで乳腺外科病棟で専属看護師として勤務し、本年度から遺伝子診療部専属となった認定遺伝カウンセラーが、対応させていただいています。

◆かんたんチェック◆

この問診票で可能性が予測できます。
母方、父方それぞれの家系について、以下の質問にお答えください。あなた自身を含めたご家族の中に該当する方がいらっしゃる場合に、□にチェックを入れてください。
 
□ 40歳未満で乳がんを発症した方がいますか?
□ 年齢を問わず卵巣がん(卵管がん・腹膜がん含む)の方がいらっしゃいますか?
□ ご家族の中でお一人の方が時期を問わず原発乳がんを2個以上発症したことがありますか?
□ 男性の方で乳がんを発症された方がいらっしゃいますか?
□ ご家族の中でご本人を含め乳がんを発症された方が3名以上いらっしゃいますか?
□ トリプルネガティブの乳がんといわれた方がいらっしゃいますか?
□ ご家族の中にBRCAの遺伝子変異が確認された方がいらっしゃいますか?

上記の質問に一つでも該当する項目があれば、あなたが遺伝性乳がん卵巣がんである可能性は一般よりも高いと考えられます。
当院では、詳しいリスク評価および医学的な情報提供などの遺伝カウンセリングを受けることが可能です。遺伝子検査を受ける、受けないに関わらず、まずは話しを聞いてみたいという方も、遠慮なくお問い合わせください。
お問い合わせ先:TEL082-257-5965(遺伝子診療部直通 月・火曜、9~17時)


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